Wild Flower (ページ37)

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よく見ると年長組は全員泣いていて、釣られるように年少組も泣いていた。

Aはきょとんとした表情で姉たちを見ている。

SU「お前がいきな」

ジュンミョンがこそっと耳打ちをしてAを押し出した。

司会がそれに気付いて、ダヒからマイクを受け取ってAに渡す。

司会「姉さんたちがみんな感動して泣いているね。マンネは大丈夫？ｗ」

　「オンニたちは練習生期間の短い私とは違って本当にたくさんの努力をしてここにいます。
　皆さんありがとうございます。皆さんの応援に応えられるように、これからもNAKEDは一生懸命頑張ります。これからもよろしくお願いします。本当にありがとう。アマリリスのみんな、愛してます」

アマリリスとはNAKEDのファンダム名だ。

『誇り・素晴らしく美しい・強い虚栄心』の花言葉を持つ。

ペンの誇りでありたい、ペンの為なら虚栄を張ってでも頑張ろうという意味が込められている。

そうしてNAKEDの音楽が流れ、涙で濡れた笑顔で踊るNAKEDたち。

Aは華々しい笑顔で姉たちの後ろで踊った。

控室に戻っても関係者が入り乱れて姉たちは声を上げて泣いていた。

これまでの苦労が涙となって溢れているようだった。

Aはそっと集団から離れて静かな場所を探す。

大きな窓の傍にしゃがみ込む。

外には収録を終えて出て来たペンたちがまだ多く残って騒いでいる様子が見えた。

　(私、芸能人になったんだなぁ)

ぼんやりとそんな事を考えているA。

姉たちの泣き顔が浮かぶ。

　(オンニたちは私が知らない苦労をたくさんしてきた。私はどれだけすごい幸運に恵まれたんだろう)

いつも煩わしく思ってきた姉たちの事を思う。

夜空を見上げる。

周りが明かるすぎて星は一つも見えない。

　(私の今の姿を見たら・・・お父さんはどう思うかな・・)

亡くなった父親に想いを馳せる。

母親が遺骨を日本の家族に返してしまった為韓国のどこにも父親の墓すらない。

　(歌が好きだったお父さんだから、喜んでくれるかな・・・)

父を想うだけで寂しくて逢いたくて苦しくなるA。

ふと、重たい足音が耳に届いた。

▢「NAKEDが１位だって？よかったなぁ。ダヒは？ユンスンも泣いてるだろｗ」

知らない声が聞こえる。どうやらSMの先輩らしい。

声のする方を見たAはいきなり立ち上がった。