SHINE. (ページ35)

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「(うわぁ～この振り全然体に入らない)」

全体リハーサルが終わって、ソロステージの振りを振付師さんから入れてもらったんだけど
頭のキャパギリギリに詰め込んだ振付が全くと言っていいほど体に馴染まない

なんで重心が右に動く時に左足が反対へ動かなきゃいけないんだ

宮近「あれ?Aちゃん?」

「うぅ、ちゃかちゃ～ん」

スタジオに忘れ物でもしたのか、練習着から私服に着替えたちゃかちゃん
私にはその後ろ姿に後光が差して見えた

宮近「で?いつもの迷宮入り?」

「私の足が動きません」

宮近「動きませんじゃなくて動かしましょうね～」

この人はダンサーとしての同士であり師匠である

「ここがもっとスムーズにいくようにしたくて」

宮近「ほとんど形は出来てるけど、重心動かすタイミングがワンテンポ遅れてるから」

「こういって、こうだ!」

宮近「うん、全然いいじゃ～ん」

ちゃかちゃんのアドバイス通りに重ねて練習していけば、それなりに人に見せられる振りになった

宮近「ってか、ソロオリジナルにしたんだね」

「せっかくの機会だしね。少クラでしかやったことないからもっといろんな人に見てほしくて」

宮近「...Aちゃんさ、なんか企んでない?」

「え?」

宮近「デビューとは違うこと、考えてんのかなって思って」

思わずちゃかちゃんの顔を見たけど、ちゃかちゃんは私の顔を見ようとはしない
不器用だから、雰囲気とかで読み取られやすいらしく(これは高地が言ってた)
自分で気を付けても、長年一緒に居ると感じとられるみたい

宮近「このタイミングでデビューの話がないってことは、次のデビューが誰かなんて馬鹿じゃないから色々分かるよ
その中にAちゃんもいると思ってたけど、デビューなら出番がもっと多いはずなのに、みんなが吃驚するくらいの出番しかないし、変に周りと距離取ってるし」

「...」

宮近「何か考えてるんだろうな〜って思ってた
でもさ、Aちゃんが決めたことなんでしょ？」

「...凄いね、ちゃかちゃんは
ねぇ、ちゃかちゃん。私がみんなを泣かせたり、苦しませるようなことしても、許してくれる?」

宮近「どうだろ、許さないかも」

「はは、やっぱそうだよね」

宮近「そうじゃなくて、中途半端なことするなら許さないよってこと
やるならとことんやってよ。それが俺の、俺達の憧れの新城Aなんだから」

やっと視線が合った時には、ちゃかちゃんは笑ってくれたんだ