近づいていく ページ16
お父さんに会った後
あたしに縋り付くようにして涙を流したベッキョンさんは、そのまま気を失った
セフンに手伝ってもらってベッドまで運び
傍で様子を見ていたのだが
何か夢を見ているのか、唸ったり顔をしかめたりして苦しそうだった
“すげぇな、あんたたち”
目を覚ましたベッキョンさんがどうして突然そんなことを言ったのかはわからない
でも
悪い意味じゃないってことは伝わってきた
「俺の父親、見ただろ？」
「はい」
「あいつ
昔から母親と俺に暴力を振るってたんだ」
「え…？」
「毎日毎日飽きもせず、な」
突然の告白に驚いて
言葉の意味を理解するまでに時間がかかってしまった
「母親は、まだ俺が小さい頃に突然いなくなった。あの生活に耐えられなくなって逃げたんだろう」
「…
じゃあ、ベッキョンさんは」
「あの父親とずっと2人。
数ヶ月前まで、殴られたり蹴られたりするのが俺の日常だった」
「……」
殴られたり蹴られたり
そんなのが当たり前で、日常だなんて
考えられないし
あってはならないことだと思う
どうしてそんなこと…
「おい」
「…はい」
「そんな顔すんな」
「え？」
「可哀想とか思ってほしいわけじゃないし、同情してほしくて話したんじゃない。
ただ
あんたが
“聞きたくて聞きたくて仕方ない”って顔してるから言っただけ」
つまり
同情されるとムカつくから辛気臭い顔はやめろ、ってことか
「…でも
どんな顔したってあたしの勝手でしょう」
「は？」
「何をどう感じてどんな顔をするかはあたしの自由です。ベッキョンさんに指図される筋合いありません」
「……まぁ、それもそうか」
ベッキョンさんのお父さんがどんな人かなんて あたしは知らない
ベッキョンさんのお母さんがどんな思いで家を出たのかもわからない
今 あたしの頭の中で流れている映像は、過去を想像したものでしかないし
どんな思いで過ごしてきたのか
お父さんと再会してどう思ったのか
それも全部あたしの価値観で考えているだけだけど
「どう考えてどんな行動をするかも、あたしの自由ですよね」
「？
何言っ…」
眉間にシワを寄せたベッキョンさん
その頬を両手で包み込む
「な…やめろ！何すんだ、離れろ」
「やめません」
「ふざけんな！触んなよ」
「前にも思ったんですけど
ベッキョンさんって 人に触れられたり、物理的・精神的に距離が縮まるのが嫌なんですか？」
「っ、」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 395人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっちゃん(プロフ) - レモンさんいつもお疲れ様です（ ; ; ）いつも作品読ませていただいてます。今回の作品も本当に大好きです！！！これからも活動頑張ってください！！応援してます！ (2020年3月29日 23時) (
レス) id: b9bee3a82b (このIDを非表示/違反報告)
NATZU - 更新ありがとうございます！セフン良かったですね！親すごいムカついたけどスカッとしました。次も頑張ってください、応援しています！ (2019年5月26日 15時) (レス) id: d9ea95abc6 (このIDを非表示/違反報告)
アヨン(プロフ) - 楽しみに連載待ってます！応援してます！ (2019年5月17日 21時) (レス) id: 4ca93bc7ad (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - ミサさん» ありがとうございます！そう言って頂けると励みになります(o^^o)のろのろですが更新頑張ります！ (2019年5月8日 18時) (レス) id: 66b1f2a509 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ - 読んでてすごい面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます笑 (2019年4月27日 23時) (レス) id: e0c9fa60e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レモン
| 作成日時：2019年4月27日 14時
