猛スピードで ページ9
「…また行くってことか？あんたの家に」
「はい」
「……」
「誰がいても気にしないでください。
防音室に入ってしまえば、あとは誰とも関わらなくて良いですから」
「…
…なんで俺に構うんだよ。
あんたには関係ないって言ったろ」
「そうですね。確かに関係ないかもしれない。
でも仕方ないじゃないですか
もう 気になっちゃったんだから」
一度“家族になる”と言われたら気になるのは当然だ
放って置けるわけがない
「あなたがあたしたちの家で暮らすも暮らさないも自由なら
あたしがあなたに構うも構わないも自由じゃないですか？」
「……」
「とりあえず来てください。
2、3日過ごしてどうしても嫌なら、そのとき出て行っても遅くないですよ」
「…お節介」
「何とでも言ってください」
「……」
気まずそうな顔をして俯くベッキョンさん
まぁ、そうですよね。あんなにはっきり“こんな家に住むつもりはない”って言い切りましたもんね
「手」
「え？」
「手を出してください」
「なんで」
「いいから早く」
あたしが急かすと 少し不満そうに手を差し出した
その手にリードを握らせる
「？
これはどういう…」
「絶対に離さないでくださいね」
「何するつもりだ」
「タル！
家に帰るよ。ゴー！」
わんっ
「お、！？わ！」
勢い良く走り出すタルに引き摺られるようにして必死に足を動かす
あたしも慌ててその後を追った
「やー！
おい！待てよ、ストップ！！」
「あははっ」
頬に触れる夜の風は柔らかく
春の匂いがする
ーーーーーー
ーーーーー
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…」
「よしよしタル
偉かったね。お利口さん」
「…し、死ぬかと思った……はぁ、はぁ、」
家の前に着いた途端
その場に座り込んで、苦しそうに息をする
「ジェットコースターみたいだったでしょう？」
「あ？…そんな、余裕ない…
はぁ…あんたは、なんで、平気そうなんだよ」
「あたし結構走るの好きなんです」
「そういうレベルじゃなかった、今のは」
「そうですか？」
「化け物かよ…」
げんなりした顔でため息
弱ってるベッキョンさんを休憩させている間に、タルにご褒美の餌をあげて頭を撫でる
「今日はありがとね、タル
お家帰ろっか」
わんわん！
「本当に賢い子」
あたしの言葉を聞いて嬉しそうに尻尾をブンブン
「そこから動かないでくださいね？
ちょっと行ってきますから」
「……動けねぇよ」
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レモン(プロフ) - NATZUさん» コメントありがとうございます！私も早く打ち解けさせたいなぁと思ってます(笑)まだ暗い話題が多いですが、楽しくわいわい出来るように更新頑張ります！ (2019年2月23日 10時) (
レス) id: 66b1f2a509 (このIDを非表示/違反報告)
NATZU - 更新ありがとうございます！面白くていつも楽しく読ませてもらってます。あとの2人とも早く打ち解けられるといいなー(o>ω<o)応援してます、頑張ってください！ (2019年2月19日 4時) (レス) id: ab77782770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモン
| 作成日時：2018年1月26日 6時
