鼻が利く ページ7
「突然お邪魔してすいません」
『いえいえ、良いんですよ。この子もAさんに会えて嬉しいみたい』
タルは子犬のとき 家の近くに捨てられていて
例の如くお母さんが拾って帰って来た
大型犬を飼うのは難しいと悩んでいたら、隣に住むお姉さんが“是非飼いたい”と言ってくれた
「少しの間だけ、この子を連れて行っても構いませんか？
すぐに戻りますから」
『ええ。構いませんよ。お散歩ですか？』
「あー…はい。まぁ、そんなところです」
子犬の頃 あたしやお母さんの匂いで実験したことがあるのだが、タルはすごく鼻が良い
警察犬にでもなれそうなくらいだ
「よし！
じゃあ、タル
ヌナと遊ぼうか」
わんっ
「ゲームをしよう。
まずはこの匂いを嗅いで覚えて」
あの人がほんの少しの間だけ履いたスリッパ
その匂いから居場所を見つけられるだろうか
「どう？わかる？」
わん！
「この匂いの犯人を探して、ヌナをその人のとこに連れてって。いい？」
わんわん！
あたしがリードを掴むといきなり走り出す
足がもつれて転ぶかと思った
ーーーーー
ーーーー
「タルや〜
まだ見つからないの？」
くんくん
真剣に匂いを嗅いで突き進む
匂いが薄すぎたか、この子の力を過信しすぎたか…
このままだと家に帰るのは夜中になってしまう
「諦めも肝心って言うよね」
わん！
「え？
あ、ちょ！待って！タル」
突然引っ張られてリードを離してしまった
散歩中に犬がいなくなったなんて、飼い主に合わせる顔が無い
「びっくりした…
急にどうしたの」
幸いタルは脱走したかったわけではなさそうだ。一安心
立ち止まり、あたしの方に向けられたくりくりの目
何か言いたげな顔
「何？もしかして…」
あ
いた
この子、本当に天才かも
「よしよしタル。ゲームはお前の勝ちだよ」
用意していた餌を食べさせ
やっと見つけたあの人に視線を移す
「……」
誰もいない公園
ベンチに座りぼんやりと遠くを見つめて動かない
彼はこんなところで何をするのだろうか
しばらくそうしていると
彼は身を隠すように遊具の下に入って行った
「え…？」
こんなところで寝るの？
いや、まさか
でも
かくれんぼしてるわけでもないだろうし
本当にここで寝る気？
「…
……タル
ゴー！」
わんっ
何も知らないタルを走らせ、あの人に突撃
「おわ！何だ？」
わんわん
「犬？
デカい…」
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レモン(プロフ) - NATZUさん» コメントありがとうございます！私も早く打ち解けさせたいなぁと思ってます(笑)まだ暗い話題が多いですが、楽しくわいわい出来るように更新頑張ります！ (2019年2月23日 10時) (
レス) id: 66b1f2a509 (このIDを非表示/違反報告)
NATZU - 更新ありがとうございます！面白くていつも楽しく読ませてもらってます。あとの2人とも早く打ち解けられるといいなー(o>ω<o)応援してます、頑張ってください！ (2019年2月19日 4時) (レス) id: ab77782770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモン
| 作成日時：2018年1月26日 6時
