契約恋愛【Ren.M】 (ページ33)

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最期は豊かでページ33

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大学病院の絶飲食スペースに移動した私。

本当にそろそろこの世界とは
さようならをすることになるらしい。

『蓮くん』

蓮「ん、どうした？」

『私が死ぬまで、愛してくれる？』

蓮「いや…俺が死ぬ日までだな」

『うわぁ〜、きゅんってする！』

そう言うと笑ってベッドの中に入ってきた。
彼の温もりを直で感じる。

…病院の先生に怒られそう。

『それ本当？死ぬ日まで？』

蓮「うん、心配？」

『生きる人は…生きないと。
　 “100歳まで生きる時代”だから残り70年以上！』

蓮「じゃあ…2097年7月21日に会おう」

『7月21日？』

蓮「俺たちが初めて会った日だろ？」

忘れたのか、と少し拗ねられる。

逆になにかの記念日でもないし…
覚えていたほうが驚きだ。

『そんなことまで覚えてるの？』

蓮「オーディションに落ちた日でもあるから(笑)」

『ふふ、じゃあ言う通り2097年7月21日に〜…
　初めて会った場所で会おう！』

蓮「懐かしい、あそこの橋な？」

『そう。そこの生命の電話前ね』

蓮「そんなことまで覚えてるのっ！？」

大袈裟に私のマネをするからベッドが揺れる揺れる。

入院してから笑いが耐えないこの病室は、
“死”を待つ病棟の中で1番賑やかなはず。

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