あなたの彼女は私でした【及川徹】

#ex_41 ページ43

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「…さっき言った通りです、私は1年の時烏野にいました。けど学校を辞めちゃって、長い間病院で過ごして…治った後、しばらく勉強してからここの転入試験を受けたんです。」




「ふーん。じゃあ、なんであんな嘘ついたの？」





あんな嘘、とは一つしかない




「…マネージャーのことですか？」





「うん。俺、よく覚えてるからね。前の学校でマネージャーやってたって。」






さすが主将




よく覚えてる




仕方ないよ




「…ああでも言わなければ、入部できないと思ったんです。男子バレー部のマネージャーは募集してないと聞いたので。」



「マネージャー経験もないのに、なんで入部したかったの？」




「……入部したかったからです。」




「…その理由を聞いてるんだけど。」




なんて答えるべきか



何度も考えたけど、答えが出なかったこの問い




理由はあるよ




でも言えることじゃない




“いま”の時点で、言える理由ではない




「…まさか俺目当てとか言わないよね？」




あ、これだ




本当に、この人はこういう時の砕け方が上手い




さすが、あなたの彼女は私“だった”だけある




「…そうですよ。及川さん目当てです。」




「冗談のつもりなんだけど」




「私は本気ですが。」





顔は笑ってても目が真剣な彼






真顔で彼を見上げる私






しばらく見つめ合っていた






側から見たら何これっていう状況





でもお互い真剣そのもので、一歩も譲る気はない






「…及川さん。」





「なに。」







「…及川さんにとって……私って、誰ですか。」






私は、ここで立ち止まれない







負けてはならない






______暖かな心臓が、ドクッと決意を固めたかのように、大きな音を立てた

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