あなたの彼女は私でした【及川徹】

#ex_14 ページ14

「おい、クソ川。」




ドアを開ける音とともに、帰り支度を済ませた岩ちゃんが顔を出した




「すぐに帰れって言われただろ。藤乃の事送ったか？」




「あのこは自転車だから…」




「？！今日見ただろ、アイツ歩いて来たの。それに夕方から雨だったじゃねえか！」





「えっ……」




確かにそうだ




マネちゃんは歩いて来てたし、今日の夜は雨と天気予報でも言っていた




「えっ、ちょ、追いかけてくる！」




「俺も行くからちゃんと謝れよ。」





2人して走る光景を、自主練組が不思議そうに見ていた





幸い、岩ちゃんが家の方角を聞いたことがあってマネちゃんの後ろ姿はすぐに見つかった





「マネちゃん！！」




傘を差しながらゆっくり歩いているマネちゃんは、俺が声をかけても止まらない





それどころか、急に早歩きになったように思える





ああ、こっちが素直になってやってるのに何だよその態度は





そう思ってるのは岩ちゃんにはお見通しなんだろう、軽いゲンコツが飛んで来た





そりゃそうだよな…昼間にあんな事言っちゃったし






マネちゃんはどんどん歩いて行って、信号にさしかかった





赤信号かと思いきや、それは青に変わって





マネちゃんが歩く左側に、スピードが下がってない車が見えた






それは、あの日の光景を逆転したように見えて







マネちゃんがそれに気づくのと、俺が全速力で向かって行ったのはほぼ同時だった







・









・









ドンッ

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