EXILE 医療センター19

オーバードーズ ページ36

岩田side


早朝、健二郎さんから緊急の電話があった。


Aのオーバードーズ。


運ばれた直後は意識がなく、胃洗浄等の処置をしてようやく呼吸が安定してきたらしい。


Aは小学校から診てきた喘息の患者で、中学、そして高校に入ってからも診てる。


家庭が少し複雑で、そして中学でいじめを受けていたこともあり元々明るく素直な性格が変わってしまいそうだったこともある。


だけど高校に入学して環境が変わり、リセットされたはずだったのに、


心配でいつもより早く出勤して、ICUへ。


山下『おぉ、おはよう。

睡眠薬の過剰摂取やなぁ、市販のやつ。

意識ないし、呼吸も怪しかったから相当飲んだやろうなぁ。意識が戻らな、なんとも言えへんけど。』


岩田『そうですね……、とりあえず意識戻ったら教えてください、』


山下『わかった、知っとる人にはいろいろ話してくれるかもしれんし、』


それから数時間後。



意識が戻ったと連絡があって、駆けつけた。



山下『おー、Aちゃん岩田先生来てくれたで、……ほな、任せるわ。』


岩田『はい、』


どうやら何も話さないし、目からずっと涙が溢れてるみたいで。


しっかり叱らないといけない、と思って来たものの、たくさんの管、酸素マスクに繋がれて涙を流すAをみたら何にも言えなくて。



こんなときに付き添いがないのだって。



岩田『A。』


『…………っ、』



岩田『心配したよ。』


『……っ、』



岩田『辛かったんだなぁ。……なんでもっと早く来ないんだよ、なんで辛いって教えてくれないの…』


『………っ、』



岩田『ごめんな、そんなこと言ったって無理だよな。……今は苦しくない？


もう泣かないのー、笑、……ん？』


『……ごめ……なさい………』


心が締め付けられた。辛くて辛くてやったこと。

華奢で大きなものを抱えるには負担が多すぎる。


岩田『もういいよ。もう泣かないの。

今はゆっくり休もうよ、体疲れちゃってるもん。またあとでゆっーくり話そうな。』

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