EXILE 医療センター18

放っておけない ページ40

#番外編
#この話はAさんのお話ではありません。今回のAさんは真央という名前に予め決めてます。

岩田side

昨日ひとりの女の子が運ばれてきた。

橋本Aちゃん。5歳。

重度の喘息発作で初め違う病院に運ばれたらしいけど、ご飯も全然食べないし、発作もどんどん酷くなるのになす術もないから、この病院に移転されたみたい。


家庭環境がよくなくて、施設から搬送されたらしい。昨日も発作が出てたみたいだけど、治療しても何をしても泣かないみたいで。

しばらく入院の必要があるけれど、その間にカウンセリングや心のケアもしてた方が良さげ。

ただ、俺にはこの子が真央と重なって仕方ない。長丁場になりそうだし、何とかして助けてやりたい。


田崎『昨日も様子見てたんだけど、ちょっと心のケアが必要になってくると思うし、喘息の治療も平行してやっていかないといけないと思う。

俺自身、真央の来た頃を思い出したわ。』


岩田『俺もです。泣きたいのに泣けないのはちょっと5歳にはしんどいかな、と。』


話し合って、俺が担当医になった。


といってもまだ会えてない。少し顔を見ようと思い、ベッドサイドへ。

寝てるな。あまり夜も眠れてないみたいだし。

岩田『……、お、起きた？

もうちょっと寝んねしてていいんだよ、』

だめだ、すぐに起きてしまうぐらい警戒してる。

岩田『大丈ー夫、怖いことしないからね。これからAちゃんのお医者さんになる岩田剛典です。よろしくね、』


すぐには慣れてくれないだろうけど、ゆっくり成長するのを見守りたい。




一ヶ月たち、まだ自分から話すことはしないけど、俺の話に短く答えてくれるようになったし、少しずつご飯も食べられるようになった。


岩田『おはよー、A。まだ眠い？眠いね、笑』

何よりちゃんと眠れるようになったことは安心した。


昼はベッドの上で院内学級の涼太が持ってきてくれたおもちゃで遊んだり、涼太と教室で遊んだりもするらしい。



そんなある日の夜。


当直の俺は、最後にAのところへ向かった。


さっき看護師から寝てると聞いていたけれど、

岩田『A、起きちゃった？』

泣きそうな顔でじっとしてた。

『………ごめ、なさい、……』


岩田『誤らなくてもいいんだよ、笑

大丈夫、先生全然怒ったりしてないから。』

そういうと、糸がぷっつり切れて泣き出してしまった。

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