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鬼になった彼女は
徐々に鬼化が進んでいるようだ。
そして、最近は酷い。
彼女が暴走した時は殺すように
そう決めていたのに
目の前の彼女が目の色を失い
怒りに任せて俺に襲いかかったとき
刀を抜くことが出来なかった。
たまたま様子を見に来た富岡が
彼女の背中に切りつけた。
その様子を静かに眺めていた。
動くことなんか出来なかった。
彼女は
『私の事なんてどうでもいいんでしょう?』
そう言った。
どうでもいい。
お前が鬼だとか
敵だとか
そんなこと
どうでもいい。
俺はやっぱり、Aを愛している。
彼女の心までもAなのだと信じさせて欲しい。
その日
俺は鬼になったAを愛さないことを辞めた。
疑うことを辞めた。
避けることを辞めた。
胡蝶が鬼化を止める方法を探してくれている。
最近は鬼の女、珠代が竈門の妹のために研究を進めていると聞いた。
Aが人間に戻るかもしれない。
Aが帰ってきた時
傍に呼んで
頭に手を乗せた。
久しぶりに触れた。
緊張と、戸惑いで
手が震えるのが分かった。
それでも、触れた温もりが
愛おしい
どうしようも無く
愛しいのだ。
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作者名:あい | 作成日時:2020年12月27日 17時