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不死川side
『実弥さん。私。。。鬼だったのね』
彼女の口から零れた言葉に
俺は何と答えたら良いのか分からなかった。
『ごめんなさい。いつから、こうなってしまったのか、分からないの』
そう言って泣き出した彼女の言葉は本当だと
俺は知っている。
彼女は気づいていなかったのだ。
自分が殺されたことも
鬼舞辻無惨によって鬼にされたことも。
そして
それから2年もの月日が過ぎてしまっていることも。
〘 実弥さんへ。任務、お疲れ様です。小豆を買いに行きます。今日はおはぎです。〙
そう書き残して
彼女は居なくなった。
俺が急に任務から帰ることになったから、きっと慌てて買いに行ったのだ。
目撃情報によると、強盗に襲われたらしい。
そして
殺された。
辛かった。
おはぎなど一生食えなくて良いから
どうか戻ってきて欲しい。
そう願って、泣いた。
せめて、亡骸だけでも見つけたいと
他の柱も協力してくれたが、見つからなかった。
そして
ある日、帰ってきたのだ。
Aに似た女が。
姿形はAそのもの。
でも、彼女は死んだのだ。
『ごめんなさい。道に迷ってしまって。。。』
そういって、すまなそうに眉を下げるところまで一緒だ。
だけど、彼女からは嗅ぎなれた匂いがした。
鬼の臭いだ。
傍にあった刀をとる。
しかし
そいつは
『すぐにご飯の支度しますね』
そういって晩飯を作り始めた。
鎹鴉を使って、御館様に報告をすると
そのまま様子を見るよう命じられた。
苦しかった。
形はAなのに
Aではないのだから
鬼舞辻の差し金かもしれない。
疑わねばならないのが
辛かった。
2年。
一緒に時を過ごしても
警戒を解いてはならなかった。
あろうことか
日光も克服している。
そんな鬼は見たことがなかったから。
でも、ふと、中身もAなのではないかと思うことがあった。
最近になって、よく笑うようになった。
猪頭の少年が彼女の周りをウロウロとする度に
怒りが込上げるくらいに
俺は鬼と人間の区別がつかないでいた。
竈門炭治郎とその妹と出会ってから
鬼にも心があると確信できたのかもしれない。
人間と共存する鬼もいるのだと。
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作者名:あい | 作成日時:2020年12月27日 17時