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とは云え、皆私のことはただの小娘だと思っている筈のところをいきなり体術で応戦しては怪しまれそうだ。となれば、異能を使うしかない訳で。
(太宰さんから「あまり使うな」と云われたけど、今回ばかりは仕方ない……。ということにしよう)
命令ではないから大丈夫な筈だ、と云い聞かせ、机の影から敵の様子を観察する。恐らく、銃の一部。”命に関わる危険物”である銃弾が込められた弾倉部分を破壊するだけなら、戦っている国木田さん達に見咎められることもない筈だ。
私は隙を見て隠れていた机の後ろから立ち上がると、敵全員を視界の中に入れた。
――《終りし道の標べに》
パキンッ……という乾いた音は戦闘音に飲まれ、構成員達が持っていた機関銃の弾倉部が一斉に破壊された。
突然武器を使用不能にされた構成員達から動揺の声が上がった気がしたが、それらは戦闘要員達の鮮やかな攻撃でくぐもった悲鳴へと変わり……数分もしないうちにほぼ全員が沈黙した。死屍累々の黒スーツ達の山、見ていて圧巻である。
「やめろッ」
国木田さんが最後まで生き残っていた広津さんを一瞬で投げ飛ばしたのとほぼ同時に、入り口から真っ青な顔の敦さんが現れて叫んだ――が、すぐさまその目は丸く見開かれた。どさ、と大きな音を立てて広津さんが床に叩きつけられたのを数秒呆けて見つめた後、敦さんはゆっくりと事務所内を見回す。
積み重なった構成員逹の上に座り、機関銃を覗き込む宮沢君。
いつの間に出したのか、お茶をして談笑する与謝野女医と江戸川乱歩さん。
最早喜劇としか思えない有様に彼はついて行けていないようで、取り敢えず立っている私は目線が合うと軽く肩を竦めておいた。ありのままの現実を受け入れて欲しいものである。
「おお、帰ったか」
後ろで呆然としている敦さんに気付いた国木田さんは、広津さんの腕を捻りあげ始める。
「勝手にいなくなる奴があるか。見ての通りの散らかりようだ。片付け手伝え」
ボキッ……と、限界を超えた広津さんの腕が折れる音と、彼の悲鳴が響いた。やっている事と云っている内容の温度差が酷すぎて風邪を引きそうだ。
無傷の事務員に倣って、取り敢えず片付けをしようと散らばった備品を拾い始めたところで、ふと窓から構成員達を捨てる宮沢君と与謝野女医の姿が目に入った。「おー」とか云いながら落ちていく彼らを暢気に眺めている宮沢君達の姿に、背筋が冷える。
(……此処、四階なんだけど)
敵ながら余りに哀れすぎた。
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霜夜華(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます！大好きと言って頂けて本当に嬉しいですヽ(*´∀｀)ノ頑張って更新しますね！ (2020年3月12日 7時) (
レス) id: 647614d598 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - このシリーズ、本当に大好きです。続編も楽しみに待ってますね！ (2020年3月12日 7時) (レス) id: 181d62af7c (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - (^ー^)さん» 誤字ですね！すみません、修正します！ご指摘ありがとうございますー( ´ ▽ ` ) (2019年12月12日 1時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
(^ー^)(プロフ) - 広津さんが弘津さんになってます。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: db654e8536 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜夜華
| 作成日時：2019年11月28日 1時
