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道に突っ立ったままでは邪魔なので、私は少年と共に川原に下りてから話を聞いた。曰く、現在一文無しで宿無しな上、餓死寸前であるという。
「成る程。だから金品を奪おうと襲った、と」
「はい……」
仕方なかったとはいえ、犯罪であることを理解している為だろうか。少年はしょんぼりと項垂れている。その姿が余りにも哀れで、私は手に持っていたビニール袋から買ったばかりのパンを取り出して、少年に差し出した。
「どうぞ」
「えっ？ま、真逆、くれるんですか？僕、襲おうとしたのに？」
「私の信条は、人を助けることだから。……その。遠慮しないで」
同年代で普通の人と話すことなど初めてなので、今更ながら緊張している私はぎこちなくパンをより突き出す。すると少年は感激したようにきらきらした目で私を見つめ、パンを受け取った。
「あっ、ありがとうございます……！このご恩は忘れません！」
「別にそこまで思わなくていい。大したことじゃないから」
寧ろ私のことなど忘れた方が身の為なのだが、勢いよく包装袋を破いてパンを食べ始めた少年は、もう私の言葉など聞いていなかった。そんなパン一つで空腹が満たされるとは到底思えないが、多少はマシになってくれればいいと思う。
そうして彼が食べ終える頃を見計らって、私は最後に一つ忠告をすることにした。
「先刻のことだけど、無闇矢鱈と人を襲うのはやめた方が良い。この街には危険な人間が多いから、相手によっては殺される」
「こっ、殺ッ!?」
「そう。マフィアとか海外からの犯罪者とか、結構いるから。とても危ない」
さーっ、と顔から血の気が引いていく少年は、どれだけ危険な橋を渡ろうとしていたか理解してくれたようだ。これならもう誰かを襲おうとは思わないだろう。
(最も、私もその危険な人間なんだけれど)
まるで他人事のように忠告する自分に何とも云えない気分になりながら、そろそろ行かなければと頭を切り替える。
「じゃあ、私はこれで……」
と、云っている最中に、不意に少年が川を見てぎょっと目を剥いた。それが余りにただならぬ気配な為、何事かと首を傾げる。
「どうしたの？」
「あ……あれ……」
視線は一切川から外さず、ぱくぱくと開閉させる口から震える声を発しながら、彼は川を指さした。一体何があるのかと私はその指先を辿り、そして、絶句した。
何故なら其処には、川面からにょっきりと不自然に突き出た人間の両足が、緩やかに流れていたからだ。
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霜夜華(プロフ) - 有彩さん» 遅れましてすみません！公開しました！そしてお褒め下さってありがとうございます(*^_^*) (2019年11月28日 1時) (
レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
有彩 - とても面白くい作品です！！続編が、楽しみです！何日くらいに、なるのでしょうか！ (2019年11月28日 0時) (レス) id: b0517c2008 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 細波幸近さん» ありがとうございます！のんびりですが、続きも頑張って書いていきますね！(*´ω｀*) (2019年11月16日 21時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
細波幸近(プロフ) - いつも読ませて頂いています!とても面白会です! (2019年11月16日 21時) (レス) id: a768fd0174 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼすジュースさん» ありがとうございますー！ノロノロ更新ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです！ (2019年8月5日 22時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜夜華
| 作成日時：2019年6月10日 15時
