私の場合は ページ10
「英語はルリ姉だけではないが……桃太郎とかの難しい話はルリ姉から聞いて覚えたぞ」
果たして桃太郎が難しい話なのかどうかは別としよう。
それでもルリさんが、この村が何なのか、その鍵を握ってそうだ。直感的にそう思った。
「ククク……俄然そのルリって女に興味が湧いてきやがった」部長がにやりとほくそ笑んだ。
「こうなりゃなおさら、意地でも万能薬作って助けねえとなァ」
「そうだね。死なれるのは凄くよくないね」私も砂鉄をさらいながら頷く。
と、部長がちらりとこちらを見、何か物言いたげな視線を送ってきた。
「…………」
「………?」何か変なことを言ったかな……?
「千空!」
そこへいいタイミングでクロムが割り込んで来た。さすがクロムだ。
目に少し焦りの色を映しながら、部長に突っかかる。
「なんだルリに興味って!どういう意味だ?」
「……あ?」
「千空、千空、千空先生〜」コハクが部長に近づいて、こそこそと話す。
「クロムは、ルリ姉のことがおそらく好きなのだ」
私は端でそれを聞いて、「ははーん」と呟いた。コハクや、部長の顔も、とても穏やかに笑うとなった。三人の心が一つになった瞬間だ。
「これでクロムもなかなかお子ちゃまでな、無自覚なのがなかなか尊い」
「いやぁ……さすがクロム…」
「おう何の話だ!クッソ誰がお子ちゃまだ!」
クロムが後ろから抗議の声を発しているが、何だかそれもかわいらしいと思った。
「と、いうかだな。A?」
「ん?」
「君はどうなのだ?」
私はどうなのか?という問いの意味がよく分からなくて首を傾げると、コハクはさっきよりももっと目を細めて、付け足した。
「千空とだよ。本当に倉庫では何もないのか?」
またその話か、と思った。
「ないよ?」私も同じくらい満面の笑みを見せた。だって、と言葉を繋げる。
「部長は別に、私の事そういう意味で好いてないし」
「……はっ?」コハクの声が裏返る。とりあえず、私は続ける。
「それに私もそうだからね。likeとloveだったら、
「ええと……そのライクとラブというのが何かは分からんが……
じゃあ君の中では、千空は男ではないということか?」
「言い方が可哀想に聞こえるけど……まあ」
━━そういうことなんじゃないかな?
それを一息で言ってしまうと、コハクの目付きがかわった。
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くりぼつち長庚(プロフ) - Kさん:スタンリーはいいですよ〜はやくアニメ化することを願う!声優楽しみ! 神月ティアナさん:分かります!龍水もイケメンですよねぇ!ホワイマンの絡み、って、中々面白いの選びますね笑 (12月23日 20時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 初コメ失礼します!とてもわかります!絡みが気になるキャラだと毎回上位にいるのが龍水、フランソワ、宝島組、アメリカ組、SAI、ホワイマンなんですよね (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - マジですか?!私はアニメででしか知らないので....スタンリーやゼノをGoogleで知ってる程度で....彼らの良さを早く知りたいです!!ちなみに私は千空推しです! (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 初コメント失礼します!最近読み始めたのですが素敵ですねこの作品!胸をキュンキュンさせながら見させていただいています!素敵な作品ありがとうございます! (12月23日 11時) (レス) id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
長庚(プロフ) - お気に入り100人いきました!皆様ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年10月14日 19時