万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

桃太郎や英語 ページ9

「ドラクエ？そんな事話してたっけ？」

ドラクエなんて復活後に一度でも聞いたかなと、一瞬考えた。

「ああテメーが倉庫にいた時だ。賢者の石はドラクエに出てくるなっつう話をしてた時な」

それで、と部長はクロム達に向き直った。

「誰に聞いた？」

「ルリ姉がね、がいっぱいお話してくれたんだよ！」

「…ルリさんが？」

ルリさん。コハクの姉。会った事もないのに、何だかこの人の謎さが増してきた。

「考えてみりゃゴリラのこともなんで知ってる？野生でいるのか？」

「ああ確かに、実物を見たことはないな」

コハクはあっさりとそう言う。見たことないのにゴリラって言われるのがなんだか可哀想になってきた。その後クロムがとんでもない事を言った。

「おう、でも桃太郎に出てくんじゃねえか、ゴリラ」

……はい？

「出てこねえよ！」「出てくるの!?」

私と部長の声が被さる。クロムはそれはもう平然とした顔で続ける。

「ん？キビ団子で仲間にゲットしただろ？」

「い、一体誰を……？」

「まず熊だろ？あとライオン、ゴリラ、ワニ……」

「なんだそのワイルドすぎる桃太郎!?」

「熊、ライオン、ゴリラ、ワニ……って！」私は繰り返しながら言う。

「すっごい言いづらいよこれ……！」

「いやそこじゃねえだろ！」

部長が盛大にツッコんでくれた。……大変ですね。

「あとコハクって」私はふと思いついて、コハクに目を向けた。

「英語話せるの？たまに日本語と混じってるけど……」

40(フォーティー)がいい例だった。なんでそこだけ英語？とは思ったが、その時は別に気にも留めなかった。

しかしコハクからの回答は予想外なものだった。

「英語？何だそれは？」

「えっ？」いつもより高い声が出た。「フォーティーとか……サウザントとかさ、コハク言ってない？」

「ああ！あれは英語というのだな？」一瞬遅れて、コハクがうんうんとした。

嘘だ、と私は思った。英語が何か知らないけど英語を使っている。珍しいというか何というか……。不思議な光景だ。

「しかし初めて知ったな。

昔からその……英語とやらと、私達の言葉がごちゃごちゃでな。よく分からん」

「そっか……」

私もよく分からない。一体どうして？何故桃太郎や英語が分かるんだろう？

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