失踪したメンタリスト ページ45
「ん………」
翌朝の事だ。
ゲンが怪我して寝ている隣で、部長と私は雑魚寝していた。
そろそろ仕切りをつけたいが、そうなると狭い。だから二人は紳士だと、私は信じている。
「あれ………。なんか広い……?」
三人も大人が余裕で寝られるほどの広さはないのにな、と腕を伸ばした。
まだぼやける目を擦りながら起きると、人 一人分のスペースがぽっかりと空いていて、部長が寝ているのが見えた。
「ゲン?」
と呼んでみるが、もちろん返事はない。
「ゲン……が、いないね。こりゃ」
******* *
「あー戻ったんだろ…司んとこに」
皆がやって来たときに部長に訊くと、そう言って何でもないふうにあくびをして、小指を耳に突っ込んだ。
なぜそんなに普通にしていられるんだ。
「でもよ……なんでこんなこっそり」クロムは眉間にシワを寄せた。
「うーん……。ちゃんと言って欲しかったんだけどなぁ」
「というかもしや…!あのコウモリ男千空が生きていると、司に教えるつもりではないのか!?」
「おいそれはヤベーぞ千空!ソッコー追わねぇと!」
今更ハッとしたクロムは部長に強く迫る。
しかし部長は首を振った。
「ククク…奴はほっといて問題ねぇ」
「え?」
「そもそもゲンが科学に1ミリも興味持たねえ男なら、最初から協力すらしねえだろ」
部長は日の昇る方を見て、目を細めた。どういうこと?
「俺が電気作った時点で、もうゲンのやつは決めてたんだ。どっちにつくか」
「え?あの時から?」
あの態度、いつものとても軽そうな口調。あの時から科学王国側につこうと?あれで?
「うーん………決定打がないかな。もしかしてさ、なにか話したんじゃない?私達がいない間に」
私が指摘すると、部長は目を丸くした。それからふっと笑って目を伏せた。
「あのメンタリストは、コーラが好物なんだと」
昨日テメーがたまたま外に出てた時に話してた。そう部長は言った。
……………いや、だから何だ。
私は考えた。すぐに、昨晩の記憶が蘇る。
━━━欲しいものがこっちにあったら、すぐ科学王国に入る気がする。
━━━俺が欲しいもの、ね………
………あぁ、ね。私はすんなり納得した。
つまり、ゲンはコーラ一本で司を裏切ったと。
私は眉をひそめた。何て奴だ。
「だからってね……何も言わずに行くことはないのに」
「軽薄男にも軽薄男なりのカッコのつけ方っつうのがあんだよ」
「なにそれ」
男とは、本当によく分からなかった。
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くりぼつち長庚(プロフ) - Kさん:スタンリーはいいですよ〜はやくアニメ化することを願う!声優楽しみ! 神月ティアナさん:分かります!龍水もイケメンですよねぇ!ホワイマンの絡み、って、中々面白いの選びますね笑 (12月23日 20時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 初コメ失礼します!とてもわかります!絡みが気になるキャラだと毎回上位にいるのが龍水、フランソワ、宝島組、アメリカ組、SAI、ホワイマンなんですよね (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - マジですか?!私はアニメででしか知らないので....スタンリーやゼノをGoogleで知ってる程度で....彼らの良さを早く知りたいです!!ちなみに私は千空推しです! (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 初コメント失礼します!最近読み始めたのですが素敵ですねこの作品!胸をキュンキュンさせながら見させていただいています!素敵な作品ありがとうございます! (12月23日 11時) (レス) id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
長庚(プロフ) - お気に入り100人いきました!皆様ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年10月14日 19時