ゲンの話。 ページ42
銅線と繊維が繋がって、回路になる。
それに流れた電流は光となり、辺りを神々しくも照らし出された。
「…………!」
その光は、昼に昇る太陽とはどこか違う、科学の光。
「………………」
しかしその繊維も徐々に機能しなくなり、辺りは再び焚き火の明かりだけになる。
「A…………」クロムが私を呼ぶ声がする。どこだ。
「科学って、マジでヤベーな…」
「んー………。ちょっと待って」
私は片方の手で目をごしごしとこすった。
まずい、眩しすぎた。何千年も暗闇の中で過ごしたのだから、こうなるのはしょうがない。
「おれA!とっとと片付けんぞ」部長は光にやられなかったのか、すぐさま立ち上がる。
「はいはい」
「はい、は二回だって学校で教わったか?」
なんでかつんけんの部長。やっぱり一人で点灯させたかったんじゃないか………。
「はいはいはい……」
私は部長にコードを渡し、いそいそとそこから下りた。
******* *
「というわけだスイカ。その司という男が千空殺人事件の犯人だ」
コハクがそう綴る。
この小さな倉庫になんと5人が居座って、スイカやクロムに私達の生い立ちの説明をしているところだ。
「ククク…死んでねえがな」部長が言う。毎度毎度死んでないよと付け足すのはお決まりだ。
「相当ヤベーぞそいつはよ!科学発展させねーとかなんとか、そのためなら平気で千空ぶち殺してんだろ!?」
「死んでないけどね」
少々あくびをしながら、私が訂正した。なんだかもう、ここの生活が濃すぎて「司って誰だっけ?」状態だ。眠い。
「つまり!その司って人はワルい人でゲンはその仲間ってこと?じゃあゲンはワルい人なんだよ!」
スイカがぴょんぴょんとその場で跳びはねる。まだ幼いスイカには壮絶なストーリーだったのかもしれない。
そう思いながら、私は外でさっきからうろうろとしているゲンを眺めた。何してるんだ?
というか、ゲンは明日にでもこの村を出て、司帝国に戻るんじゃないか?
「あれ?でもゲンはマグマからみんなを助けてくれたんだよ?いい人なんだよ?」
「ククク……いい奴でもワルい奴でもねえよ」
「ひたすらに軽薄なコウモリ男だ」
「このまま戻られると非常に困るんだよね……」
そう話してから、よいしょと、私は立ち上がった。ちょっと下りるとだけ言って、梯子に脚をかける。
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くりぼつち長庚(プロフ) - Kさん:スタンリーはいいですよ〜はやくアニメ化することを願う!声優楽しみ! 神月ティアナさん:分かります!龍水もイケメンですよねぇ!ホワイマンの絡み、って、中々面白いの選びますね笑 (12月23日 20時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 初コメ失礼します!とてもわかります!絡みが気になるキャラだと毎回上位にいるのが龍水、フランソワ、宝島組、アメリカ組、SAI、ホワイマンなんですよね (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - マジですか?!私はアニメででしか知らないので....スタンリーやゼノをGoogleで知ってる程度で....彼らの良さを早く知りたいです!!ちなみに私は千空推しです! (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 初コメント失礼します!最近読み始めたのですが素敵ですねこの作品!胸をキュンキュンさせながら見させていただいています!素敵な作品ありがとうございます! (12月23日 11時) (レス) id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
長庚(プロフ) - お気に入り100人いきました!皆様ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年10月14日 19時