万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

超絶 ページ5

部長は落ちていた木の棒を使って、さらさらと地面に描いていく。とても分かりやすい。

「マジかヤベー！」クロムは部長がマップを描いている時から興味津々だった。科学の事でこんなに元気になるとは。
クロムはスタート部分、「鉄」を指差して叫んだ。

「なら、まずこの鉄って奴からだ！

てか何だ？鉄って？もろもろ教えてくれ！」

「そこもそうそう楽じゃねえぞ」

「千空先生の妖術……科学教室か……聞いても私にはわからなそうだな」

コハクは諦めたような顔をする。クロムはコハクの顔を見て言った。

「Aは教えてくんねえのか？Aの説明もスゲー分かりやすそうだけどな」

「え、そう？」

そう言われると、素直に嬉しいものだ。思わず笑みが零れた。
するとコハクがそれを見て、少し面食らったような表情をした。まあ気にしない事にした。

「じゃあコハクには私が、"超絶"分かりやすく教えるね」

「ん、ああ"超絶"、分かりやすく頼む」

「おしそれじゃあ千空、教えてくれ!!"超絶"分かりやすくな!!」

「超絶超絶うっせえなテメーら!!やかましい！」

こうして、コハク曰くの科学教室が始まったのだった。

しかし割と大変だった。

「鉄は金属の一種で、超絶硬え。なのに常温でも加工できるっつう便利な素材だ」

「おうじゃあ、金属ってのは何だ？」

「金属は、展性、延性があって加工できて、電気や熱をよく伝える、そして金属光沢という特有の光沢を持つ物質の総称だよ」

「展性延性とは何だ？」

「広がるのが展性、延びるのが延性だよ」

「待て待て、それでは同じではないか？」

「いや実はこれが違っててね……」

大変とはいっても、コハクやクロムが吸収していくのが面白かったので、たくさん話してやれたのだが。

問題は部長だった。

「マ・ジ・かヤベー！地球の方が回ってんのかよヤベー！」

「あ゛ー、そーだよ……」

実はもう日は暮れていて、いくつ話をしたのか忘れた。部長は既に憔悴しきっていて、ぐったりしている。

「それはおかしいぞ。ならばなぜ私は今枝から放り出されないのだ？」

「重力がー…あるからだよ」

「重力とは何だ？」コハクのお決まりおうむ返しにもすっかり慣れてしまった。

「すごい分かりやすく言うと、地球の中心からね、私たちを地面に向かって引っ張る力が働いてるんだ。それが重力」

「なるほどな」と、木の上から声がした。コハクは木から星を眺めていた。

星を見た→←ペニシリンでは無理

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