万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

しごと ページ31

「可能性が高い、っていうか、もう間違いなくだと思うけど……」

"間違いなく"なのか"そう思う"なのかどっちなのかハッキリしないところが、日本人の良いところだと思う(・・)。

「どっかで見た顔だと思ったら、テメー、あさぎりゲンか」

あさぎりゲン？聞いたことがあるようなないような………。

「知りあいか？」

「いや、1ミリもしらねえ。ゴミみてえな心理本書いてたマジシャンだ」

「あっ、もしかしてあの時の？」

部長はああ、と頷いた。

科学部で皆と心理テストをやったことを思い出す。あれ、この人の本だったんだ。3700年前の記憶だから、頭の中が霞んでいるような感じがする。

「ん、それにあれだ。テレビ特番で、司と共演してたね」ようやく思い出せた。

「へえ、観てくれてたの？嬉しいね〜」

その言葉とは裏腹に、ゴミみたいな心理本、は否定しないのね…と、あさぎりゲンは小さく呟いた。

観てたというか"聞いてた"の方が正しいか。特番だっていうのに、ただの数字当てみたいな事をしていてびっくりした。

「まあ司の秘密か何かを喋らせるために仕組まれたインチキ番組だったとも聞いてたけどね」

「そりゃひどいね〜。でも、俺はなんも知らないよ？今だってこんな可愛い子にしめられるって思うと怖いし？」

あさぎりゲンはコハクから一歩だけ後ろに下がる。しかし、その表情は至って冷静だ。

「うーん、確たる証拠を持ってこいってかぁ…」

「いや、今はその必要はねえ」

部長が私の隣に立って言った。なぜ？

「なぜ？」

「ラーメン食った奴にゃ、仕事があるからな」

…………流石部長……。

あさぎりゲンもそういえばラーメンを食べてたな。

うーん、あさぎりゲンにも仕事をさせるのか？

というかまずあさぎりゲンは仕事をするのだろうか？

＊＊＊＊＊＊＊ ＊

「うおおおおお！」

「……やるんだ」

あさぎりゲン、仕事はちゃんとやった。

「フーフー機能パワーアップ改造した製鉄所レベル2だぜ！」

竹を上下に動かして、空気を送るシステムだ。炉は、前よりもごうごうと煙を上げている。

「これで交代制ならいけそうだぞ！」

「疲れたあぁ!!Aー！替わってよ〜！」

ルビィが声に疲れを滲ませた。泣きそうな顔で、こちらに訴えてくる。

「頑張れー」

まあラーメン食べてたし。それしか言いようがないというか。

「Aー!!」

メンタリスト……→←新しい男に接触

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す