万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

エノコログサの蘊蓄について ページ22

部長は少し考えてから言った。

「人並みにはな。食いたいもんは自分で作ったり作らなかったりだ」

結局意外に感じた。料理できたんだ。

因みに私は料理がほとんどできない。レシピは頭に入っているが、何も見えなかった奴に包丁を持たせる、というのも酷な話。

「ん？」

部長がふと何かに気づいて、後ろを振り向いた。

離れたところで、スイカが白い小さな犬とはしゃいでいる。首にはこの村の人共通のしめ縄のようなものが結ばれているから、たぶんスイカのペットか何かだろう。

「スイカ、テメーのそれなんだ？」

部長が気にしたのは犬ではなく、スイカが手にしているものだった。ふよふよと犬の目の前で揺らしている。

「これはね、友達のチョークが大好きなオモチャ、犬じゃらしだよ」

「猫じゃらしな」部長が訂正させる。

猫じゃらし。正式にはエノコログサ。イネ科エノコログサ属の植物で、一年生草本である。ブラシのように長い穂の形が独特な雑草で、夏から秋にかけてつける花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ……

「A、今俺が何考えてるか分かるか？」

突然、エノコログサを見ていた部長がほいっと問いを投げてきた。

「はっ、はいっ？」

「？」部長は窺わしい視線を送る。しまった、つ、つい石化中の知識を掘り返す癖が……！

「えっと、何をお考えに……？」

部長の考えていることはよく分からなかったので、直球に尋ねる。部長はちょっとだけ息を漏らしたが、笑った。

「作るんだよ。俺ら旧世界の人間なら全員大好きな、あの世界一旨いあの料理をな！」

世界一旨い、あの料理？

「……って何？」

「ゼロから作る原始のサバイバルグルメだ。唆るじゃねえか！」

やる気満々な部長は、それが何か教えちゃくれなかった。

＊＊＊＊＊＊＊

Aのエノコログサの蘊蓄(うんちく)はwikipediaから抜粋し、小説の文面に合わせたものです。お借りしました。

出典
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/
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83%AD%E3%82%B0%E3%82%B5

一行に張ったらURLが画面の端っこにいってしまったので、改行させていただきます。

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