万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

飯=科学 ページ21

「まったくお子ちゃまだなクロムは。ルリ姉や私も、女だが嫌いか？」

コハクがニコニコと笑いかけると、クロムは特に表情も変えずに言った。

「コハク！テメーは女と思ってねえよ。ゴリラだしな」

ずばり問題発言によって、クロムはこの後拳骨を受けた。クロム………。

「おごってくれる人つってる奴だけワンチャンあんな」

おごってくれる人、とは多分、ルビィの事だろう。ガーネットが強い人、サファイアがイケメンと、いかにもなタイプを言った後の発言だった。

「私は狩りが上手なら顔も中身もなんでもいい〜」

「へ？狩りが上手なら？銀狼が狩り上手になったらタイプになるってこと？」

「えっ、それはない」と、それに手をぶんぶんと振って全否定していたことについては、少し銀狼が可哀想になった。

「そいつは何を欲しがってる？」

「魚とかのお食事だよ。あ、お食事といえば」

スイカが思い出したように手を止める。

「村一番の食いしん坊ガンエンも、毎日毎日焼き魚に飽き飽きで死にそう！って新しいお食事探してたんだよ」

「おお。それはよかっ…」語尾を小さくしながら、水筒の水を喉に流し込んだ。勢いよく行った水が突拍子もないところに入ってきて、慌てて頭を下げた。

「げほっげほっ！う゛っ」

「おいA……大丈夫かよ」

部長が呆れながらも私の背中を叩く。いや別に喉に詰まった訳じゃ無いんですが…。

「げほっ、でもよかった。スイカのお陰で、科学のエサは楽勝で出来そうだね」

そう笑った後にくるりと後ろを向いて、もうひとつ咳をした。

「というか、どういうことだ？食事の話だろう？」

コハクが頭を捻らせた。クロムは、もう何も残っていない串を炎の中に放る。

「科学関係ねえじゃねえか。まさか飯も科学とか言うのか？」

「ったりめーだ。飯=科学だ。テメーらが毎日食ってる魚の旨味ってのはなんだと思ってやがる。グルタミン酸やイノシン酸だぞ？」

「ぐるたみん？いのしん？」

なんだそりゃ、とクロムが怪訝な顔をする。味の素だよって言ったところでクロムには分からないのが辛い。

「で、何を作る？そもそも、部長料理できるの？」

部長はなんだか料理ができてもできなくても意外に見えない気がする。なんでだろうね。

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