休憩に ページ17
「おう、こんだけ塗れば文句ねえだろ!」
クロムはモルタルで少し色が白っぽくなった炉の表面を拳で叩いた。ついでにいうと、モルタルは全然乾いちゃいなかった。
「うおっ!?」見事に手についてしまったモルタルを振り払って落とす。
「ははっ、何してんのクロムは」
私はくすりと笑い、炉を見上げた。
部長と設計に設計を重ねて少し炉の形を変えたのだが、なかなかいい出来だった。
クロムはその間、着ちゃくとモルタルを塗りたくっていたのだった。
「いいね。クロムのモルタル塗りは完璧だよ。これは"モルタル塗りの天才"の称号がいるね」
部長よろしく称号をつけてやった。何だっけと思い出す。そうだ"土詰めの天才"だ。懐かしい。
「休憩にすっか!千空先生?」
クロムの提案に、部長はああ、と頷いた。
「好きにしやがれ。俺も休む」
「やたー」
はしゃぐように橋の近くに座る。湖がよく見えるところだ。
水面は静かに凪いでいて、遠くに深く、影がたまっていた。
「綺麗だなぁ、湖」言いながら、竹筒の水筒の蓋を外す。
口元まで持っていくと、そのまま飲み干してしまった。水なのにすごくおいしい。
「はあ〜……って、ん?
あの人達は………?」
橋の上に、何やらこっちをちらちらと見ている三人の人影が見えた。小さな声で、しかしはっきりとその会話が聞き取れる。
「ちょっと、あんた行きなさいよ」
「やだよ。ガーネットが見てみたいって言うから来たんでしょ?ガーネットが行かないと!」
「ねえ〜はやくして〜日が暮れるんだけど?」
「……………?」
私が怪訝な顔で三人の少女達を見つめると、三人はびくりとして、顔を見合せた。
というか三人ともとても顔が整っていて、美少女だった。ほう、と思わず眺めてしまう。
その間にも、彼女達はおそるおそる私に近づいて来る。
「ね、ねえ…あなた?」
金髪に赤い瞳を光らせた少女(という年齢ではないけれど)が口を開いた。
「はい?」
「あなた……よそ者……なのよね?」
初対面でいきなりそんな質問をするとは思わず、視線が上がる。
「へっ、ま、まあそうなりますね。えっと、で、何かご用でも?」
「え?いいえそれは…無いけれど……」
「よそ者とはいうけどさ、どこの"よそ"から来たの?他に村があったりするの?」
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くりぼつち長庚(プロフ) - Kさん:スタンリーはいいですよ〜はやくアニメ化することを願う!声優楽しみ! 神月ティアナさん:分かります!龍水もイケメンですよねぇ!ホワイマンの絡み、って、中々面白いの選びますね笑 (12月23日 20時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 初コメ失礼します!とてもわかります!絡みが気になるキャラだと毎回上位にいるのが龍水、フランソワ、宝島組、アメリカ組、SAI、ホワイマンなんですよね (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - マジですか?!私はアニメででしか知らないので....スタンリーやゼノをGoogleで知ってる程度で....彼らの良さを早く知りたいです!!ちなみに私は千空推しです! (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 初コメント失礼します!最近読み始めたのですが素敵ですねこの作品!胸をキュンキュンさせながら見させていただいています!素敵な作品ありがとうございます! (12月23日 11時) (レス) id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
長庚(プロフ) - お気に入り100人いきました!皆様ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年10月14日 19時