万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

体調不良？(コハクside) ページ13

最初に会ったときは、とてもお似合いの二人だと思っていたのだがな。

私は隣に座っている哀れな奴を見た。

どちらも想い合っているかと思ったら、Aの"別に男として見ていない"という発言。私も白目を剥かれた。

合理的としか言わなそうな奴がここまで感情を見せたのは初めてかもしれないな。

「千空、君は今めっぽうじめじめしたキノコのようになっているぞ。大丈夫か」私は遠くを眺めながら問いかけた。

「…比喩が分かんねえよ。あと全然大丈夫じゃねえ」

千空は普通に会話が出来た。でも本当にキノコが生えてきそうだ。

「それは見て分かる」私は下を向いて笑った。

「というか何だ？もしや君はずっとAに好かれていると思っていたのか？」

あっ、これは露骨に訊きすぎたかもしれない。

「…………」

千空にじとりとした目で見られる。分かった悪かった。

「部長ー…？」

「！」

そこへ千空が今一番会いたくないだろうAがのこのこやって来た。

「二人ともどうしたの？一体」

Aは私達の顔を覗き込む。

「いや……物理的に暗い顔だね。どうしちゃったの？」

苦笑いしてAは訊く。私は間をたっぷり開けてから喋った。

「いや……軽いショックを受けているだけだ。気にするな」

「いやすごく気になるんだけど……」

Aは横に生えているキノコ、いや千空を見て眉間にシワをよせた。千空は目を合わせようともしない。

「な、何のショックか分からないけど……大丈夫になったらはやく製鉄を始めよう？」

「………………」

何とこの人、千空が何のショックでこうなっているのかが分からないそうだ。
千空、厄介な女を好きになったものだな…。

「………あ、いや、私は元気だ。できるぞ」はっとして言葉を継ぐ。「ただ千空は危篤だからな、このままここに置いて……」

「いや、俺も行く」唐突に、千空が口を開いた。

よいしょと立ち上がり、そのまま足早に炉の方向に向かう。なんて幼いんだ。

私とAは、その幼い姿を視界に収めながら突っ立っていた。

「……よし、今日はクロムの倉庫を借りて部長に薬草をたくさん食べさせよう」

隣で小さく呟くA。


…………分からんな。


愛情があるのかないのか………。

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