万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

体調不良？ ページ12

さっきからクロムとスイカとしか会話していない。

「部長？」

くるりと後ろを振り返ると、部長とコハクが近くの木の下に小さく三角座りをしていた。

「二人ともどうしたの？一体」

私は二人の座る木の下へと歩く。陰になっているからか、二人の表情はあまり明るくは見えない。

「いや……物理的に暗い顔だね。どうしちゃったの？」

近くに来てから、二人の雰囲気がずうんとしているのが分かった。コハクはゆっくりと話す。

「いや……軽いショックを受けているだけだ。気にするな」

「いやすごく気になるんだけど……」

コハクはいつもと変わりない様子だった。ただ部長は、目がどこを見ているのかよく分からないくらいぼうっとしている。

「何のショックか分からないけど……大丈夫になったらはやく製鉄を始めよう？」

私が言うと、コハクは「いや」と返して立ち上がった。

「私は元気だ。できるぞ。

ただ千空は危篤だからな、このままここに置いて……」

「いや、俺も行く」

コハクの声に乗っかるようにして、部長が低い声を発した。重い腰を上げる。

「千空……」

「大丈夫？部長」

「……あ゛あ」素っ気ない返事。

急にどうしたっていうんだ？

今日は特別暑くて熱中症になったとか、立ちくらみがするとか？

心配すると、それを見たコハクは言葉を失ったように苦笑する。

「まったく、誰のせいなんだかな」

「えっ……え？」コハクがこちらを見て言うものだから、何だか私が悪いふうになっている。

私、何かしたっけ？「私のせい？」

「いや？」コハクは不思議と笑う。

「悪いのは千空だ」

「えっ？ならいいけど……」

私は先に歩いていく部長の背中を見つめる。大分憔悴しているように見える。

まったく…。

こうなったのは部長が悪いんだ、とコハクが言っていたし、部長はきっと体調管理がなってないんだろうなぁ。私はむっと口を尖らせた。

倉庫でもよく眠れているように見えないし、相当疲れていて、だからあんなにだるそうなのか。

「よし、今日はクロムの倉庫を借りて部長に薬草をたくさん食べさせよう」

私は少し引き気味のコハクの横で、無駄に意気込んだ。

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