たたら製鉄 ページ11
「……………」
何か哀しいものを見る目で棒立ちになっているコハク。
「?」
何なんだ……?初めて私は焦りだした。謎の罪悪感に囚われる。
「いや。まあ、いや………」
コハクは何かを言おうと口を開いては、言葉を濁している。
「まあとりあえず、Aの気持ちはよく分かった」
「は、はあ……」
私はコハクの心の内を考えた。コハクの言わんとすることは、なんとなく想像できる。
これって遠回しに、「君には失望したよ」って言われてない?
元気に返すのも変なので、曖昧に返事を声に出した。
一体どうして今そんな事を訊いたんだろう?いや、別に今じゃなくたって訊く意味はないような気もする。
そしてその後に、コハクが部長のところへ行って、何やら難しい顔で話をしていたのが見えた。
******* *
クロムの倉庫の前には、既に大きな炉があった。その近くに、砂鉄がたくさん入った土器を置く。
「川で集めたこの黒い砂が砂鉄ってのになるんだね?」スイカは語尾を跳ねさせて言った。
「うん。これに砂鉄4に対して1で炭を入れるんだ」
「ん?何で炭を?鉄にも炭が入ってんのか?」
クロムが疑問を
「いや、砂鉄は酸化……錆び錆びになってるからね、炭と一緒に焼いて錆びがなくなるようにしてるんだ」
わざわざ言い直した後ではたと気づいた。ストーンワールドに錆びるものって無いな。
クロムは身を乗り出して、砂鉄に顔を近づけた。
「ヤベーそんな事まで考えてんのか…!製鉄ヤベー!」
本当に錆びる、と意味が分かっているのかは疑問だったけれど、とても目をキラキラさせている。
「たたら製鉄っていうんだけど、この製鉄方法なら、製鉄も低温でできるんだよね」
たたら製鉄とはちょっと違うかもしれないと思ったが、クロムはそれが何か知らないし、別にいいか?うん。いいか。
「低温?どのくらい冷たいんだよ?」
スイカも製鉄にのってきたようだ。そういえば何度だっけなあと思い出す。
「えっと……1400、500度くらい?」
「それってどんくらいなんだ?」
「クロムが炎色反応に使った焚き火は500〜700度だよ」
「おおー!って、全然足りねえじゃねえか!」
ノリツッコミを繰り出したクロム。うむ、と私は頷いた。
「だからどうするかというと……っていうか、ちょっと待って。
二人くらいいない気がするんだけど……」
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くりぼつち長庚(プロフ) - Kさん:スタンリーはいいですよ〜はやくアニメ化することを願う!声優楽しみ! 神月ティアナさん:分かります!龍水もイケメンですよねぇ!ホワイマンの絡み、って、中々面白いの選びますね笑 (12月23日 20時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 初コメ失礼します!とてもわかります!絡みが気になるキャラだと毎回上位にいるのが龍水、フランソワ、宝島組、アメリカ組、SAI、ホワイマンなんですよね (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - マジですか?!私はアニメででしか知らないので....スタンリーやゼノをGoogleで知ってる程度で....彼らの良さを早く知りたいです!!ちなみに私は千空推しです! (12月23日 15時) (レス) @page50 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 初コメント失礼します!最近読み始めたのですが素敵ですねこの作品!胸をキュンキュンさせながら見させていただいています!素敵な作品ありがとうございます! (12月23日 11時) (レス) id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
長庚(プロフ) - お気に入り100人いきました!皆様ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年10月14日 19時