from夜to朝 ページ47
「……テメーもな」
思わず言い返すと、Aは目を丸くした。
「はは………ありがとう」
小さく言ってAは顔を背けた。笑ったというのにその声には、感情が感じられなかった。
「あとさ」と、矢継ぎ早にAは付け足す。
「下心とかはあるの？部長って」俺に心臓を貫かれたような衝撃が走った。
「は……」
こいつは一体何て事を言い出すかと思えば……。
Aは再びこちらを振り向く。さっきの無情な声を誤魔化したようだった。沈黙を破るように言う。
「………冗談だよ。今夜は眠れないね」もう一度笑って、Aは今度は天井の方を向いて、目を閉じた。
そして秒で寝息が聞こえて来た。何て奴だ。
「A……」
近寄って、仕返しに頭でも撫でてやろうかと考えたが、Aが狸寝入りをしている可能性も無いわけではないので、俺もどうにか眠ることにした。
しかしAの最後の一言で、なかなか眠れなかったのは、言うまでもなかった。
＊＊＊＊＊＊＊ ＊(Aside)
唐突に目が覚めた。
倉庫の扉は閉じているので、朝の光は入らず、外の時間が分からない。
顔を右に向けると、部長が寝ているのが見える。小さく丸まって、部長らしからぬ静かな寝息を立てていた。
何だか子供のようだな、と思った。
部長は口が良くないし、とても優しい奴には見えないが、中身は驚くほどいい奴で、半年前に大樹の石像を堀当てた時の顔は、今でも覚えている。
私にその顔を見られて、その後１日何だか対応が雑になったのも覚えている。
「千空」
私はその名前を呼んでみる。いつもは呼ばない部長の本名。
「ん…………」
気だるげな声と共に、部長の目がゆっくりと開いた。その目が合う。
「……Aか」
「うん。素晴らしい朝だよ」
「あ゛ー……」
詰まり気味に言うと部長は、何かを思い出したようにはっとし、顔を反対側に向けてしまった。
(え、何故？)
私は身体を起こす。顎に手を当ててうーんと考える。そこで私は閃いたように、一つの結論に達する。
(ああもしかして、昨日下心が何だとか言ったから拗ねてるのか？)
いやしかし、と私は頭の中で首を振った。
だって部長はその手の事に全く興味がないはずだ。もし本当に拗ねているのなら何て可愛いのだろう。そうだ。あるはずがない。
「……気にするだけ無駄か！顔洗いに行こうかな…！」
「なっ……！Aテメー……!!」そこに部長が飛び起きた。
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます！ (10月6日 16時) (
レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお！更新頻度高くてすごい助かります！！普通に話作るのうますぎて吐きそう！！頑張れええ！！ (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー！実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます！(*｀･ω･)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください！ (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます！これからも作品の腕を上げて参ります！ (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年9月12日 22時
