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ガサガサと買い物袋が鳴る音と共に、二人の足音。明るく町を照らす太陽の日差しが暖かい。平日ということもあり、少し落ち着いたのどかな昼間だ。昨日約束した通り、日用品の購入に付き合ってくれている彼と手を繋ぐと、無機質な薬指の指輪が存在感を示してなんだか変な感じ。だからといって、指から抜き去る気はそうそう起きない。
「イタリアでもレジ袋ってあるんだねえ」
「そりゃね」
「てっきり紙袋で買い物するのかと思ってた」
「すぐ破れるからじゃない？」
「あーそうじゃなくて、ほら、茶色の紙袋からフランスパンがちょっと出てるのとかさ。イタリアっぽいじゃん」
にひひと効果音がつきそうに笑いながら話す彼を見上げて、「映画の見過ぎね」と呟いた。
もしかしたら昔は紙袋で買い物をしていたのかもしれないが、彼の言ってるような紙袋は取手がないので移動にはさぞ向かないだろう。それに第一、彼の言うイタリア人っぽい買い物風景で描かれるひょっこり飛び出たフランスパンは、常に外気に晒されているということで、そこそこ汚いなぁと思ってしまう。
そんなことを考えているとふと、家のパンがなくなっていたことを思い出す。彼を呼び止めて、「こっち」と手を引くと、彼はすんなり方向転換をしてくれた。
ドアベルを鳴らしながら行きつけのパン屋に入る。香ばしい匂いがたち込めていて、思わず涎がキュウっと口内に滲んだ。
淡いライトに照らされた店内で、お利口さんに並んだ焦げ色のパン達。どれにしようかなと悩んでいると、彼が「フランスパン、焼きたてだって」と言うのでフランスパンにした。さっきの話の流れから考えると、運命とは言い難いが、なんとも絶妙なタイミング。人生は巡り合わせだ。
会計を済ませると、気前の良い店主がクロワッサンを二つおまけにつけてくれた。そこの横の彼はもしかして彼氏かとにやけた顔で私に問いかけることも忘れずに。まぁそんなとこだと濁すと、拓也くんが「どうしたの」と尋ねてくる。
店主に言われた通りのことを伝えると、途端に破顔をみせ、「フィアンセ！」と言い放った。店内にいたもう一人のお客さんがあまりの声量に振り返ったのが視界の端に映る。そうかそうかと愉快そうな店主と、「馬鹿丸出し……」と困り眉の私。拓也くんはご満悦そうに、「これフィアンセって、通じたよね」と言った。顔に熱が集まっている。ただ不思議と、そっぽを向く気にはならなかった。
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マニ。(プロフ) - まほろさん» ✉️。続編を見ました！面白いです！これからも頑張ってください、ボードの返事とかもお待ちしています💝 (12月30日 18時) (
レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» 素敵な感想を頂けてとても嬉しいばかりです。ささく様にいつかふと、思い出していただけるような作品になっていればと思います。新作も執筆途中ですので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。長らくお付き合いいただき、本当にありがとうございました！ (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» この度はご愛読いただきありがとうございました☺️ ありきたりな設定でありながらも家族をテーマにしたこの作品では、私としても考えさせられることがとても多く、時に皆様をお待たせしてしまうことがありました。無事、完結することができ安堵しております。 (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
ささく - これからも陰ながら応援しております。新作等の予定がございましたらお知らせ願いたいです。まほろ様の書く小説が大好きな一読者より。 (12月23日 1時) (レス) id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
ささく - 本当に本当に、言葉にするのが難しいくらいまほろ様の文章に惹かれてしまいました。別作を拝見させていただき、あまりの文章力に魅了されこちらの作品も読ませていただいたのですが、家族の形や愛情の形の本質が詰まっている素敵なお話で胸を打たれました。 (12月23日 1時) (レス) @page41 id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2022年9月20日 8時
