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私の線香花火の魂は、あっけらかんと地面に散った。尻餅をついたまま彼を見上げると、少し艶っぽく笑っているのが暗闇の中でもわかる。
彼の線香花火はまだまだやる気で、私の線香花火は早くも真っ暗で。
私はつまり、馬鹿正直に彼に驚かされて、火の玉を落っことしたというわけだ。
「ずるい！ずるすぎるよ、ひどい！」
「ごめんごめん、ックククク、ハッハッハ！！」
「私質問答えないからね！」
悔しくて、睨みながら彼の肩を押すと、拓也くんは簡単にバランスを崩して火の玉を落っことした。
「あー！」
「先にやったのそっちでしょ！」
「ひどーい、Aちゃんいけないんだぁ」
まるで幼子のように、私に後ろ指を刺してくるので、そっぽを向いてやった。すると今度はまたいつものようにおちょくるような笑い声が聞こえて、「うそうそ、実はもう一本だけあるんだ」と。
どうやら私は前座に上手く使われたらしい。それも気に食わなくて、差し出された線香花火を受け取りながら今度は私が驚かしてやろうと思っていると、彼の手には何も握られていない。
一本だけしかないからと微笑む彼に甘えて、今度はそっと、落とさないように用心しながら火をつけた。
「ねぇ」
「……なに」
「好きだよ」
また私を驚かせる気かと身構えると、隣で俯く彼から飛び出た、その言葉。
心なしか震えていたように感じるその好きは、私の体をかちんこちんに固くする。
聞き間違いでなければ。
妙に冷静だった。ただ頭の回路はすっかりショートしてしまったようで、何も言葉にならない。返答にまごつく中、唇を一人噛み締めてパチパチと弾ける火花を見つめた。まだまだ勢いを落とさないそれの音しか聞こえない、沈黙の時間が訪れた。
そして次第に勢いがなくなり、ついには火花が出なくなる。私みたいだと皮肉にも思った。初めは意地っ張りでつんけんどんなくせに、良くしてもらったら嬉しくなって、それでその後全部無かったことにしようとしてる。本当に、私みたい。
もう一度隣から、「好きだから」と、今度ははっきりとした声が聞こえた。芯の通ったその声は頭に響き渡って、私の口を固く結ばせた。
そんなの、知ってる。
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マニ。(プロフ) - まほろさん» ✉️。続編を見ました！面白いです！これからも頑張ってください、ボードの返事とかもお待ちしています💝 (12月30日 18時) (
レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» 素敵な感想を頂けてとても嬉しいばかりです。ささく様にいつかふと、思い出していただけるような作品になっていればと思います。新作も執筆途中ですので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。長らくお付き合いいただき、本当にありがとうございました！ (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» この度はご愛読いただきありがとうございました☺️ ありきたりな設定でありながらも家族をテーマにしたこの作品では、私としても考えさせられることがとても多く、時に皆様をお待たせしてしまうことがありました。無事、完結することができ安堵しております。 (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
ささく - これからも陰ながら応援しております。新作等の予定がございましたらお知らせ願いたいです。まほろ様の書く小説が大好きな一読者より。 (12月23日 1時) (レス) id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
ささく - 本当に本当に、言葉にするのが難しいくらいまほろ様の文章に惹かれてしまいました。別作を拝見させていただき、あまりの文章力に魅了されこちらの作品も読ませていただいたのですが、家族の形や愛情の形の本質が詰まっている素敵なお話で胸を打たれました。 (12月23日 1時) (レス) @page41 id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2022年9月20日 8時
