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「俺たち、兄妹だから」
「え？」
「前に言ってたでしょ、家族の話した時。俺のことも妹のことも認めてるって」
「……」
「だからこんなこと、本当は言うべきじゃないのわかってるから」
「……」
「でもごめん、我慢できなかった」
一つ一つの言葉が、なんだか箇条書きを音読しているように聞こえた。棒読みともまた別の、なんとも言えない違和感。押し黙ってしまう私をさておいて、彼は自虐気味に何かを言っていた。ぼんやりとしている頭で、それを処理するほどの能力はなかった。
彼との思い出が脳裏に浮かぶ。
フィレンツェに帰りたいと夜な夜な思っていたのに、いつの間にか日本の四季を楽しむようになっていた。そんな柔軟さは、拓也くんからもたらされたとて過言ではない。
歯を食いしばってなんとか己と付き合っていた思春期の時期には、めぐる季節を楽しむ余裕なんてなかった。それでも彼が、大人になった私を外に連れ出すたびに折角だからと、その季節だけの世界を教えてくれたから。たった一年経たずでも、意気地な私に二人でいることの楽しさを教えてくれたから。だから私はフィレンツェではないこの地でも、歯を食いしばらずに、ただ頑張ろうと背筋を伸ばして前を向けていたのだ。
ただ、彼の言葉は私に重くのしかかった。
家族なのかもしれない、他人の拓也くん。それを勝手に絆したのは、他でもない彼だ。一人でやり切ろうと覚悟を決めていた私に、二人を無責任にも教えたのは彼だ。
私が彼を根本は他人だと思っているのが仇となったか、それとも彼が私を根本は妹だと思っているのが仇となったか。
どちらかわからないけれど、私たちは確実にすれ違っている。
「……気のせいじゃない？」
長い沈黙の末に、絞り出した言葉がさらにその場に重くのしかかる。
ねぇ、いまあなたはどんなかおをしているの？
熱だけが二人をつなげるようだ。いつのまにか彼の手の力は抜けてしまっている。振り返ろうと思えば、容易なほどに。それでも抱きしめられたまま、目を閉じた。もう、考えるのをやめようと。
掠れた声、「そうかもしれない」なんて言葉。私は何も返さずに、動かずに曖昧な相槌をした。
決して二人とも、互いの反応を直接見ないまま、言葉を交わしてしまったのだから、すれ違ったままの方がお似合いだなと。
そう思ってしまう私は、彼の手に余る天邪鬼。
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It was all too natural for me to fall in love with you.→←-
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マニ。(プロフ) - まほろさん» ✉️。続編を見ました！面白いです！これからも頑張ってください、ボードの返事とかもお待ちしています💝 (12月30日 18時) (
レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» 素敵な感想を頂けてとても嬉しいばかりです。ささく様にいつかふと、思い出していただけるような作品になっていればと思います。新作も執筆途中ですので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。長らくお付き合いいただき、本当にありがとうございました！ (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - ささくさん» この度はご愛読いただきありがとうございました☺️ ありきたりな設定でありながらも家族をテーマにしたこの作品では、私としても考えさせられることがとても多く、時に皆様をお待たせしてしまうことがありました。無事、完結することができ安堵しております。 (12月28日 18時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
ささく - これからも陰ながら応援しております。新作等の予定がございましたらお知らせ願いたいです。まほろ様の書く小説が大好きな一読者より。 (12月23日 1時) (レス) id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
ささく - 本当に本当に、言葉にするのが難しいくらいまほろ様の文章に惹かれてしまいました。別作を拝見させていただき、あまりの文章力に魅了されこちらの作品も読ませていただいたのですが、家族の形や愛情の形の本質が詰まっている素敵なお話で胸を打たれました。 (12月23日 1時) (レス) @page41 id: 6670d41b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2022年9月20日 8時
