癖ある馬に脳あり ページ10
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「あのねぇ梅原さんあなたね」
「はい？」
「確かにご贔屓にとは言いましたよ、言いましたけどね！ 私別に便利屋じゃないんですよ！」
キュッとボルトを閉めながら、さぞ不快そうな顔で言ってきた女を見て「水道修理もできるんですね、やー、すごいなぁ」と返した。
「あんなに私のこと疑ってたのに！ 信じたらこのザマ、図々しいですよ！」
なんだこいつ。図々しい勝負だったらなかなかお前も負けてないだろう。
今日だって一応客人だしと棚から引っ張り出した菓子折りをお好きにどうぞとあいつの目の前に置いたところ、全部喰われた。全部だぞ全部。
わーこれ美味しいですねじゃねえよ図々しい奴だなと心の底から思った。
「いやあ、あなたの限界が気になりまして」
「やな奴！」
神っていうのは存外正直に自分の思ったことをぶっ放すようだ。もしかしたらこいつが特殊なのかもしれないけど。
衝撃的な初対面と再会を果たした八月。それから少し経って、今日はまだ暑さが残る九月。
これで今月の呼び出しは五回目だ。その度に驚くべきスピードでやってくるこいつを、俺はもう不思議に思わなくなっていた。
家に忘れた台本を持って来て欲しい。
これは今月一度目のお願い。
本当に焦った。俺の目の前に颯爽と現れたこいつは、「承知！」と言って、ものの数分で台本を持ってきてくれた。
相も変わらず怪奇現象だと、それでも単純に助かったわけだからと、なんとも言えない顔をしている俺に、「変な顔」とこいつは真正面から言い放った。
次に呼び出したのは自転車のチェーンが出先で壊れた時。
流石に自転車屋に行けと一蹴されるだろう、でもダメ元でという具合だったが、実際瞬きの間に目の前に現れた女は「うめはらさぁん、よかったですねえ。何がって？ 私が自転車修理ができてですよ〜！」と無性に腹の立つ顔で言い、見事にチェーンを直してみせた。
三度目は一日限定二十個のすげえ美味いらしい、すげえ高いカステラを買ってこいという些細な願い。
お前の分も買っていいからと頼むと「神様をパシリに使うだなんて！！！」と言い飛び出していった。どこかのそこ掘れワンワン忠犬シロかと見間違えるほど、どこにでも行くしなんでもするこの女は、「暑すぎてほんと死ぬかと思いましたよ！！末代まで呪われてしまえ！」と俺に呪詛を吐き、その合間にちゃっかり自分の分まで買ったカステラを食って帰っていった。
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名無し - 普通の夢小説とは違う何とも言えない夢主の存在がたまらないです。まさかファンタジー（？）系でこんなにハマるとは思ってませんでしたほんとに。めちゃめちゃ面白いのでいつも更新楽しみに待ってます。これからも頑張ってください (4月13日 10時) (
レス) @page6 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 興味本位で見たらどっぷりハマりました。夢主ののらりくらりかわしていく感じがめちゃ好きです。小説の雰囲気も好きです。更新楽しみに待ちます (4月8日 1時) (レス) @page19 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - たれみみさん» とってもとっても嬉しいコメントありがとうございます〜🥲これからも更新続けてまいりますのでぜひご愛読くださいませ(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)ᐢ コメントもお待ちしております！ (2月19日 20時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
たれみみ(プロフ) - まほろさんの新作とっっっっっっても楽しみにしておりました。入りからずっと最高です…ありがとうございます…この作品の更新楽しみにこれから生きていこうと思いました。ありがとうございます。 (2月16日 18時) (レス) @page1 id: 2e7d03848e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2024年2月15日 18時
