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この女に初めて出会ってから早三週間。
あの奇妙な出来事も、まぁなんだ、人生生きてりゃ怪しい出来事の一つや二つあるだろうと、なんとなく自分で消化し始めていた。
いつもと変わらない日常に少しずつあの出来事が滲んでいった。
そんなある日、俺は片方だけ失くなったワイヤレスイヤホンに気づいて途方に暮れていたわけだ。
どこかに落としたんだろうかと行動を思い出す。
家に帰って両方の耳から抜いたような抜いてないような。
人の記憶というのは情けないもので、たかが十分前のことですら鮮明に思い出せない。
「……買って二週間」
思わずこぼれ出た独り言。
一度放置して風呂に入るもやっぱり気になる。
決して安い買い物ではないそれを、買って二週間で諦める程俺は達観した人間ではない。ワイヤレスイヤホンというものはコロンとしたフォルムで小さく軽いくせに、なかなかいい値段がするのだ。
なんとも上がりきらない気持ちでどうにかならないものかと携帯で【イヤホン 片耳落とした】と検索した際、また俺は目にしたのである。
「デリバリー……ゴット」
少しずつ俺の中で存在感を無くしつつあったその言葉が、あっという間に頭を埋め尽くした。
デリバリーゴット。
俺はまた、何か吸い寄せられるようにゆっくりと、人差し指を画面へと動かしていた。何故か。
そしてまた、コール音。
耳に当てた端末から聞こえる音に加えて、インターホンが鳴る音がした。
心臓がドクンと跳ね上がった。
本能的に感じた。これは、マジなのかもしれない。
だってうちの部屋のインターホンは、まずエントランスのロックを突破しなければマンション自体に入れないわけで、つまり部外者が家に付いている直接のインターホンを押すことは必然的に不可能なのだから。
妙にシンとした玄関先に行き、ドアスコープを覗き込む。ない、誰もいない。
扉をガチャリと開けて、息を呑んだ。
「デリバリーゴットです！」
女の声が、誰の体にも入り込まずに、ぽわわんぽわわんと部屋に転がった。
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名無し - 普通の夢小説とは違う何とも言えない夢主の存在がたまらないです。まさかファンタジー（？）系でこんなにハマるとは思ってませんでしたほんとに。めちゃめちゃ面白いのでいつも更新楽しみに待ってます。これからも頑張ってください (4月13日 10時) (
レス) @page6 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 興味本位で見たらどっぷりハマりました。夢主ののらりくらりかわしていく感じがめちゃ好きです。小説の雰囲気も好きです。更新楽しみに待ちます (4月8日 1時) (レス) @page19 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - たれみみさん» とってもとっても嬉しいコメントありがとうございます〜🥲これからも更新続けてまいりますのでぜひご愛読くださいませ(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)ᐢ コメントもお待ちしております！ (2月19日 20時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
たれみみ(プロフ) - まほろさんの新作とっっっっっっても楽しみにしておりました。入りからずっと最高です…ありがとうございます…この作品の更新楽しみにこれから生きていこうと思いました。ありがとうございます。 (2月16日 18時) (レス) @page1 id: 2e7d03848e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2024年2月15日 18時
