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「梅ちゃんなんだか今日変だよ」
西山にそう言われて、ズレていた焦点を彼に合わせる。
「そうですかね？」
「なんかもうさっきからすげえ上の空じゃん」
「はははははっ」
狭いラジオの録音室で二人、顔を突き合わせながら話を進めていく。
さっきから上の空。そりゃそうだ。
さっきの出来事を思い出しては、首をかしげるばかりだった。
思い返せば怪しさ満点。
もはや新手の詐欺の手口ですと言ってくれた方が納得がいく程の珍体験。でも事実ピタリと腹痛は治っている。これは何かの病気なのかもしれないと真面目に思うレベルの、腹痛がだ。
ともすればあの女はまさか本物か、と考えつつもプラシーボ効果とかありそうだよなと妙に冷静な俺。さっきの激痛から一変して嘘みたいになんともない俺の体がよもや怖い。
何はともあれ、狐につままれた気分だ。
元はといえばラジオのネタになるということで乗っかった話だったが、実際録音室で話すのは気が引けた。
多分信じてくれる人はいないだろう。それでも俺にとってはやけにリアルすぎる怪奇話だからだ。何事もなかったかのようにピンピンしている俺の体がそれを物語る。
おまけに西山にドン引いた顔で「梅ちゃんって騙されやすいんだね」とか言われたらと考えると、とても口には出せない。
夢だったのかなぁとぼんやり思った。それかお腹が痛すぎて見た幻覚とか。
あまりに浮世離れした体験すぎて、本当にあったことなのかも定かでは無くなってきている。
「なぁお前さ」
「んー？」
「神って、居ると思う？」
無事に収録も終わり、身支度を整える西山に問いかける。
西山は怪訝そうな顔をした、いかにも俺のことを変だと言いたげな顔で眺めてくるので、その視線から逃げるように背中を向けて俺もバックに物を詰め始めた。
携帯のスケジュール帳を見て、次の時間を確認するついでにふと思いつき、恐る恐る電話の履歴を見る。
「まあでも俺、幽霊とか信じてるしなぁ。だから神ってのもいるのかもね」
目線を動かせずにいる俺の背中に、西山はそう投げかけた。
何気ない言葉だろう。ただ今の俺にはどうも反響して聞こえた。
履歴に残った知らない電話番号。そして通話終了時間。
それはあの女、というかあの出来事が、実在していたことの動かぬ証拠だった。
全身の鳥肌がブルリとたって、妙に嫌な気分だった。
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名無し - 普通の夢小説とは違う何とも言えない夢主の存在がたまらないです。まさかファンタジー（？）系でこんなにハマるとは思ってませんでしたほんとに。めちゃめちゃ面白いのでいつも更新楽しみに待ってます。これからも頑張ってください (4月13日 10時) (
レス) @page6 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 興味本位で見たらどっぷりハマりました。夢主ののらりくらりかわしていく感じがめちゃ好きです。小説の雰囲気も好きです。更新楽しみに待ちます (4月8日 1時) (レス) @page19 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - たれみみさん» とってもとっても嬉しいコメントありがとうございます〜🥲これからも更新続けてまいりますのでぜひご愛読くださいませ(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)ᐢ コメントもお待ちしております！ (2月19日 20時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
たれみみ(プロフ) - まほろさんの新作とっっっっっっても楽しみにしておりました。入りからずっと最高です…ありがとうございます…この作品の更新楽しみにこれから生きていこうと思いました。ありがとうございます。 (2月16日 18時) (レス) @page1 id: 2e7d03848e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2024年2月15日 18時
