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「というわけで一応私にも限界はあります」
「なるほどねぇ、じゃあこのマンション自体の権利を俺にとかは」
「もちろんNG。用法容量正しくご利用ください」
キッパリ言い切った女を視界に入れる。そこそこ踏み込んできている俺に、自分とは適度に関わっていけと釘を刺しているんだろうな。でもはっきり言い切ってこないところがすごくやらしい。神のくせに妙に人間臭い感じだ。
話がひと段落ついたからか、突然立ち上がり、場所を教えてもいないのにキッチンの棚からスプーンを持ってきた女は、結構大きめのゼリーを二口で食った。
よく食うやつだなぁとまじまじ見つめたからだろう。こんなに使いっ走りさせといて他にもまだ頼みたいことがあるのかと、おずおず心底嫌そうな顔で訪ねてくるのが可笑しくて笑ってしまう。
「……そういや名前」
ふと今まで名前を聞いていなかったことを思い出した。そういえば、ずっと俺は女だとかこいつだとかヤツだとか、なんだか失礼な呼び方でこいつを呼んでいた。今みたいにね。
「名前、ですか」
「はい」
「困りましたねぇ」
困り眉で苦笑いをする女は、「私、名前ないんですよ」とか細く言った。
「名無しの神だと？」
「って言われるとなんかムカつきますけど。まぁ実際そうなんですよね」
「ほー」
「ていうかそもそも名前のある神の方が少ないし」
今度はつまらなそうに呟くその姿をじっと眺める。
好きなように呼んでください、か。目線を逸らした先に、付箋が貼られた台本があった。
「……A」
「はい？」
「Aっての、どうでしょう」
俺がいま収録を行っているアニメの主人公の恋敵。無駄に元気で真っ直ぐなところが目の前の女と重なる。
「まぁ、吝かではないですけど」
若干癪に障るものの、ニヤつきながら言ってくるところ、なかなかにご満悦で満更でもないのだろう。
彼女が帰るまでその機嫌の良さを利用して、そこそこ失礼な質問をしてもなんだかんだで答えてくれたあたり、相当気に入ってるじゃないかお前とついついこぼしそうになった。
けれどもそんな余計なことは言わなかった。
彼女が家から出ていき、シンと静まり返る家の中でひとり携帯の画面を眺める。
見たことも聞いたこともないような奇妙な数字が並んだ頭三桁。デリバリーゴットと記されたその連絡先をタップして、Aさんと登録した。
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名無し - 普通の夢小説とは違う何とも言えない夢主の存在がたまらないです。まさかファンタジー（？）系でこんなにハマるとは思ってませんでしたほんとに。めちゃめちゃ面白いのでいつも更新楽しみに待ってます。これからも頑張ってください (4月13日 10時) (
レス) @page6 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 興味本位で見たらどっぷりハマりました。夢主ののらりくらりかわしていく感じがめちゃ好きです。小説の雰囲気も好きです。更新楽しみに待ちます (4月8日 1時) (レス) @page19 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - たれみみさん» とってもとっても嬉しいコメントありがとうございます〜🥲これからも更新続けてまいりますのでぜひご愛読くださいませ(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)ᐢ コメントもお待ちしております！ (2月19日 20時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
たれみみ(プロフ) - まほろさんの新作とっっっっっっても楽しみにしておりました。入りからずっと最高です…ありがとうございます…この作品の更新楽しみにこれから生きていこうと思いました。ありがとうございます。 (2月16日 18時) (レス) @page1 id: 2e7d03848e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2024年2月15日 18時
