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目を白黒させる俺を差し置いて、「相談雑用なんでも私にお任せください」と。
驚きのあまり、あんなに辛かった腹痛がこの時ばかりは吹っ飛んでいた。
まとまらない思考で女を見上げた。胡散臭さ満点の笑顔。女は俺を覗き込む。
こいつ、誰？
「電話、したでしょ。ご用件お伺いしますね」
「……」
「すごい。警戒心むき出し」
「……」
「そんな私を不審者みたいな目で見ないでくださいよ……」
苦笑いでそう言ったこの女は、「ま、いいや」と呟く。
「ズバリ！あなた、お腹痛いんでしょ」
俺の前にしゃがみ込んだ女は、やけに端正な顔をしていた。
そして俺の困り事をピッタリと当て、唖然としている俺を見てクスッと笑い、右手を差し出してくる。
「前払い制です」
うっわこいつ、胡散くせ！
思わず顔を顰めると、「うわ、こいつ胡散くせって思った！」と眉間に皺を寄せながら言ってくる。なんでと思わず漏れ出ると、「流石の私も思考は読めません。でも顔に出過ぎ」と呆らた様子で言われてしまった。
あーこれ、ラジオのネタになるかもな。
大してラジオに熱量があるわけでもないのに、こんな時に限っては仕事根性が湧き出てくるのが不思議だ。
ものは試しだ。「いくら？」と聞いてみると手を広げて五本指を見せつけてくる。
いい商売してんなこいつ。これだけで五万かよ。アホか。
じくじくと痛む腹を右腕で圧迫しながら悪態をつく。
「五円です」
「んな金ない……ん？」
「だから、五円」
クソ真面目な顔で繰り返すのに、呆気に取られてしまった。
五円、五円。頭の中で反復してようやく理解する。「五円？」と聞くと、「五円」と頷かれる。
「……どうぞ」
「どうも、毎度あり〜」
どうも伸び切った返事をした後に立ち上がった女の顔をじっとり見つめる。
また出会い頭のようににっこり気味悪く笑った女は、「ちちんぷいぷい」と安っぽい呪文を唱え始める。
西日本の誰かに移っちゃえ〜、とこれまた気の抜けるようなことを女が唱えたその瞬間。
フッとお腹が軽くなったのだ。
嘘だろと半ば無意識に立ち上がって目を見開く。
さっきまであんなに痛かったのに？
「最近暑いんで熱中症とか気をつけてくださいねぇ」
そう背中を向ける女を後ろから目で追う。
振り返って「じゃあ、またのご利用、お待ちしております」と言った女の顔が、やけに脳裏に焼きついた。
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名無し - 普通の夢小説とは違う何とも言えない夢主の存在がたまらないです。まさかファンタジー（？）系でこんなにハマるとは思ってませんでしたほんとに。めちゃめちゃ面白いのでいつも更新楽しみに待ってます。これからも頑張ってください (4月13日 10時) (
レス) @page6 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 興味本位で見たらどっぷりハマりました。夢主ののらりくらりかわしていく感じがめちゃ好きです。小説の雰囲気も好きです。更新楽しみに待ちます (4月8日 1時) (レス) @page19 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - たれみみさん» とってもとっても嬉しいコメントありがとうございます〜🥲これからも更新続けてまいりますのでぜひご愛読くださいませ(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)ᐢ コメントもお待ちしております！ (2月19日 20時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
たれみみ(プロフ) - まほろさんの新作とっっっっっっても楽しみにしておりました。入りからずっと最高です…ありがとうございます…この作品の更新楽しみにこれから生きていこうと思いました。ありがとうございます。 (2月16日 18時) (レス) @page1 id: 2e7d03848e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2024年2月15日 18時
