君に出会えたから−４th story−

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やばい。



最近、声の調子がどことなくおかしい。





ライブツア−を終え、Aの映画出演の影響で三代目、という名前がどんどん世間に広まってきて、三代目としても音楽番組への出演がどんどん増えてきているのに。





(風邪、、か？それとも、、、焦りか？)





来月には俺もホットロ−ドのロケが始まる。




演技の勉強、、、といっても何をしたらいいのかわからず、とりあえず映画を見まくっているのだがそれを自分が出来るのか、といったらそれはまた別の話で。






それに加えて、新しいアルバムの収録も入るのだが、時折でてしまうミスの回数が最近増えてきたような気がする。




音程、声の伸び具合。




思うように歌えていない





今のままでは満足できない。





隆二もAものびのびと気持ちよさそうに歌う中、そんなことばかり考えていた。





とくに、隆二。






ライブ後、歌声がさらに綺麗になった。さらに透き通るようになった。相方として修行からずっと一緒に歌ってきた。だからこそ、隆二の声の成長は正直だれよりもわかる。





(だからこそ、余計に焦ってんのかな？)




自分が成長するために映画の出演を決めたはず。




(でも、今の俺はもっと歌のレッスンをしなきゃじゃねぇのか、、、？)




でも映画や演技の世界、自分が今まで知らなかった世界をみれば、何か変わるかもしれない。



(でも、歌わなきゃ、、、)




こんなこと、１人で悩むべきじゃないってわかってる。
大事なメンバ−も、相方もいるんだから相談すればいいこともわかってる。








でもなぜか、踏みとどまってしまう。





そんな風に１人家でぐるぐる考える日々が続いていた。





ぴろん)




―――なんだ？





携帯に来た通知を見ると、そこには映画でご一緒する監督からのメ−ル。







監督『来月から始まる撮影、よろしくお願いします。映画の世界、初めてですよね。映画の撮影では、君は、三代目の登坂さんではなく、１人の俳優の、登坂広臣さんです。

登坂さんが思う春山を、思うままに、自由に、演じてください。』





撮影を、楽しみにしています。という言葉で締めくくられたそのメ−ルの文面は死ぬほど俺の中に響いてきた。









(―――やるしかねぇ。)






今悩んでる悩みも、良い意味で三代目も一度忘れるくらい、春山、という人間を知ろう。









そう、決意が少し固まった。

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