君に出会えたから−４th story−

１５２ ページ3

臣「まだまだ、盛り上がっていきましょーっ！」



という登坂さんの声と共に大音量でイントロが流れた。


(この曲をやっと、この大きなステージで歌える。)


そう思ったら嬉しくて鳥肌がたった。


隆二「Ｒｅａｄｙ！Ｇｏ ｍｙ ｗａｙ！踏み出せば動き出す〜光差した未来へＵｐ ｔｏ ｄａｔｅ」


臣「あわてないでいつでも君らしく〜心ひとつ Ａｌｗａｙｓ ｗｉｔｈ ｙｏｕ〜」



２番に入る時、今まで横一列だったメンバーが立ち位置を総入れ替えするために歩き出した。


「そう、気付かないまま傷つけたりして、そのたびに優しさを覚えた〜」


と歌いながら歩いていると後ろからガバッと体重がかけられる。


横を見るといたのはにっこにこの剛典で。


あまりにもにこにこなのでこちらまで釣られて笑顔が溢れた。



真ん中に差しかかるころ、向こうから歩いてきた健二郎さんが、私の少し前を歩いていた今市さんと思いっきりハイタッチを交わしていた。



交わした２人もすごく笑顔で。同じこのステージを楽しんでいることが目で見てわかる。



と、思ったら今市さんとすれ違った後、またにかっと笑いながら手のひらをすっとこちらに向けた。



“楽しんどるか？”

“最高です。”


言葉を発してなくても、伝わるように。全力で今楽しいです。って言う意味も込めて、健二郎さんに向けてわたしも手のひらを見せる。



ぱぁんっ)


といい音が響いた。



(嬉しい。)



と少しニヤニヤしていたら。


ぱんっ)


と下げきれていなかった自分の手のひらに他の手のひらがぶつかる。



(え、あ、。)


後ろを向いた先にいたのはもうファンの皆さんの方を向いて盛り上げに徹している直己さんで。



(直己さんともハイタッチできた、？)


なんて１人テンション上がっていると、




どすっ、と鼻から誰かにぶつかってしまった。



(やば、ごめんなさい、、！)



と見上げた先にいたのは前を歩いていた今市さんで。



その一瞬の出来事に気を取られて、自分のパートが寸前まで来ていることに気づかなかった。



がばっ)


隆二「Ｒｅａｄｙ！Ｇｏ ｍｙ ｗａｙ！今は雨に濡れても〜青空を信じてＯｎｅ ｍｏｒｅ ｔｉｍｅ〜」


「っ、予定通りそれだけじゃつまらない、それぞれの道Ｋｅｅｐ ｔｒｙｉｎｇ〜」



パニクってた私の肩をとっさに組んで、私のパートをアドリブで歌って繋いでくれた。






Ｇｏ ｍｙ ｗａｙを歌い切るまで、肩はずっと、組まれたままだった。

１５３→←１５１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す