いつかまた、会えたら【2】

第41話 ページ3

side.KENJIRO







…でもさぁ、


何て言えばいいん？







『直人さんが、あと2年で
死んじゃう』って言ったって

は？、てなるんがオチやん


俺やったらそうなるわ





…そもそも、メンバーに
打ち明けるべきかも分からんし







「…どーしたらええんかなぁ」







次の仕事があるから、って
楽屋を出て行った隆二


閉まったドアを見つめて
誰に聞かせるでもなく、呟いた







.







隆「…どうしたらいい、って
何で直接言ってくれないかなぁ…

すぐ1人で抱え込むんだから」







.







昨日、坂本先生から聞いた

『抗がん剤治療を止めた理由』を
ふと、思い出した





─"…どうすれば、

どう言えば、君が
傷付かないでいられるか"−



それは、まさに
言葉通りの意味やった







「活動休止会見を見てから、か…」







そして俺は
坂本先生が懸念した通り


しっかりと
その事実に傷付いた





もしかしたら

まだあったかもしれない
直人さんの『生きる希望』を



俺達が奪ってしまったんやろうか



…俺さえ我慢すれば


直己さんと岩ちゃんを
丸く収めていれば





直人さんは、まだ


生きようとしてくれたんかな







「…あー、あかん…」







考えれば考えるほど
マイナスにしか傾かなくて


思わず

乾いた笑い声が
楽屋に響いた







…でも、逆に
こうも考えられる


俺達が記者会見をせず
直人さんが治療を続けていれば



いつか、


俺達の所へ
帰ってきてくれた…？





そんな淡い期待ですら
抱いてしまうほど


直人さんの存在は
俺の中で大きくなりすぎた







「──っ、あ"ぁっ！！」







…情緒不安定かいな





激しく机を叩き
言い様のない苛立ちを吐き出して尚


気持ちは冷静やった





笑えるほど冷静で


それでいて苛立っていて


言い様のない怒りが込み上げて







ガシャンッ！！







もう一度、楽屋のテーブルを
激しく叩いた







prrrr.prrrr.pr..







「…はい、もしもし」


坂《あ、こんにちは
坂本です

今、お時間大丈夫ですか？》


「大丈夫です

…っあ、もう今日は
仕事終わりなんで

病院に伺いましょうか？」


坂《…いいんですか？》


「えぇ、もちろん
今から向かいます」

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