いつかまた、会えたら

第24話 ページ24

side.KENJIRO







ｺﾝｺﾝｯ







己「…失礼します」







余程動揺しているのか

ノックの回数がトイレの個室確認の
それになってる直己さん


そして、それを分かりつつも
指摘できるような雰囲気ではない







ヒ「…おう、入れ」







頭を抱えていたヒロさんの
顔色の悪さに


俺は、少し違和感を覚えた







ヒ「…読んだか、全員」


己「…はい」







…もしかして、







「…ヒロさん

この事は、ご存知でしたよね…？」







何当たり前の事聞いてんだとばかりに
両サイドからの視線が痛い


けど、ヒロさんは
眉を下げて自虐的に笑った







ヒ「…知ってたら止めてる

こんな簡単に、うちの家族を
手放したりしない」


臣「え…」







声を洩らした臣をチラ見すると
信じられないというような顔


多分、他のメンバーも同じ顔してる







己「ヒロさんにも、言ってない…？」


エ「…えっ、何か
事件に巻き込まれてるとか…」


ヒ「それはない」







エリーの言葉を
きっぱり否定するヒロさん







ヒ「あいつは、何より
周りの迷惑になる事を嫌う

…危ない目に遭ってたなら
ちゃんと報告してるよ」







確かに、隠す事で状況が悪化したら
収拾がつかなくなる場合もある


でも、じゃあ…







「何で、」







喉を押さえられたかのように
続きの言葉が出てこない



"辞めたんですか"



それを言葉にすると
現実を認めてしまう気がして





認めたくない自分がいて







「…俺、直人さんを探します」


隆「健ちゃん…」


ヒ「当てはあるのか？」


「…ありません」







それでも、諦められへん


理由も聞かされずに消えて、残された
こっちの身にもなってほしい







「せめて、理由が知りたいんです」


ヒ「…仮に見つけたとしても
言うと思うか？」


「それは…」


剛「…言う訳ないでしょ」







小さな、震える声で
そう言う岩ちゃん


パッと横を見るけど
俯いてて表情は窺えへん







剛「…俺ら、捨てられたんすよ」


エ「岩ちゃん…」


剛「…もう、限界です」







ゆっくりと顔を上げた岩ちゃんは
いつもと違う顔をしていた







剛「…これから、三代目は
6人体制になりますね」







何かを諦めたような顔


カッとなった俺は、そんな岩ちゃんの
胸ぐらを掴み上げようとして、





…上げた手を下ろした







己「っお前…！」







それより早く


直己さんが
岩ちゃんに掴みかかったから

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