侵略(肆) ページ18
時透は彼女の傷を見て
「やっぱり昨日の刺されたとこ痛いんじゃないか。どうしてそんなにあの子供のこと庇うの?」
「んー?包帯が汚れてたから交換しただけ。
こんなのたいしたことないよ。
あの子も目の前であんなことが起きて気が動転してたし、柱のくせに避けきれなかった私が悪いもの。」
「…何にしたって人に危害を加えたんだから子供だって罰を与えるべきだと思うけど。」
「罰ならもう十分受けてるよ。とにかくいいの!私と時透くんが他言しなきゃ誰にも知られずに無かったことに出来るんだからこの事は秘密!」
「昨日も聞いた、…分かったよ。別に僕はどうでもいいし。
なんかお人好しにも程があるよね。」
Aの体に綺麗な包帯が巻き終わり、時透は彼女の服を離した。
(まだ子供なのに目の前で母親が鬼に喰べられて…
なんてそれだけでそれ以上ないくらいの罰を受けてる。
相当動揺してて私を刺したことも覚えてないみたいだし、もうそれでいい。そんなこと思い出さなくていいから前を向いて欲しい。
お母さん助けられなくてごめんね…)
彼女は昨日の事を思い出し、自分の力不足を実感していた。
「もういいなら行くけど。」
「呼び止めちゃってごめんね、ありがとう。
あれ、そういえば時透くんはなんで蝶屋敷に?怪我?」
「………。」
時透は何も言わない。そんな彼の様子を見て、急に右腕を掴んで袖をまくった。
右腕には包帯が巻かれていた。Aはそれをとり傷の状態をじっと見ている。
「これかぁ。これだったら私もできるな。」
そう言って彼女は慣れた手つきで傷口の消毒をしたり包帯を巻いていく。
「…手際いいね。」
さきほどの処置といい、自分に巻かれている包帯を見て時透は言った。
「時透くんが褒めた!わー!初めて褒められたっ」
「…え?なんでそうなるの?」
「え?手際いいねって褒め言葉でしょうっ」
彼自身褒めたつもりは無いようだったがAの嬉しそうな満面の笑みを見てつられるように少し笑った。
「ふっ、変な人だねAって。」
「変?時透くんに言われたくないんですけどっ」
(初めて名前で呼ばれたなぁ、ちょっとは心をゆるしてくれたってことかな)
時透のちょっとした変化に嬉しそうなA。
そんなことを話している間にも手を動かしていた彼女は包帯を巻き終えたところで最後の包帯を止める物を出していないことに気づいた。
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お茶犬(プロフ) - るんるさん» はじめまして。全然気づいていませんでした、教えて頂きありがとうございます!修正しました!褒めて頂けてとても嬉しいです!!頑張ります!またお時間ある時にでもお話読みにきてください(*´-`) (2020年11月4日 19時) (レス) id: 72156f6cb2 (このIDを非表示/違反報告)
るんる(プロフ) - すみません。炭治郎の字が違います,,,お話めちゃめちゃ面白いです!頑張ってください! (2020年11月3日 23時) (レス) id: 89ac41ad4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶犬 | 作成日時:2020年10月22日 23時