☆不器用だけど、友達だから。 ページ11
キラside
分かってる。
分かってるよ。
あたしが、嫌な奴なことくらい。
自分勝手なのも分かってる。
あたしは……。
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ただ現実から、逃げているだけだ。
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前向きにならないと駄目、分かってるのに。
すぐに気持ちが暗くなる。
過去を思い出す度に、たくさんの『声』がまとわりつく。
『お前はいらない』
『両親は死んだのに、なぜお前は両親の存在を捜す』
『王家の恥の娘』
『忌み子だ、災いのもと』
ああ、駄目。
頭がぐちゃぐちゃ。
あたしは、何をしたら良い?
現実から逃げないように、生きる為にはどうしたらいいの?
あたしは生きていい存在?
そもそも……
あたしの存在価値が分からない。
本当は、知ってる。
両親は、もうこの世にはいないということ。
でも、生きているかもしれないという希望にすがりつきたいのだ。
また、いつか……
会えると信じたいのに。
心の底では、『会えない』と思ってる。
……ねぇ、パパ、ママ。
あたしは、どうしたらいいの?
「ッキラ!」
突然聞こえた、予想外の声。
少し荒々しいが、優しさがにじみ出てる。
カイトでも、レイくんでもない……。
あの男の子の声。
何だろう、あたしにまた、文句を言いに来たの?
あたしは、うずくまったまま、返事もせずに地面を見つめる。
草花が、柔らかな風に揺れているのを見ていると、心が落ち着く。
そう、ぼーっと思っていた。
………すると、少しぶっきらぼうに、男の子はこう言った。
「…さっきは悪かった……。」
……………え?
あたしは、驚いて男の子の方を見た。
男の子は、少し気まずそうにしていて、でもちゃんと、あたしのひとみを見ていてくれていた。
「なっ、なんで謝るの?……あたしが…悪いんだよ…。レイくんは、悪くないのに、嫌悪感を抱いて……。黒の国の者だからって……それだけだった」
それだけなのに、……傷つけてしまった…
あたしは、謝るのも謝られるのも、慣れていない。
不器用なのだ。
きっと、この男の子だって不器用なのだろう。
それなのに、ここまで来て、謝ってくれた。
「……ごめんなさい…」
あたしも小さく呟いた。
……レイくんにも、届いているだろうか。
ちゃんと、仲良くなりたい。
友達だから。
本当にごめんなさい、……そして。
「……ありがとう」
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山形みるく(プロフ) - エリカさん» 私も大好きーっ! (2020年8月31日 17時) (レス) id: 43416ff750 (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 山形みるくさん» みるちゃん大好き (2020年8月30日 23時) (レス) id: 4b8c4006dd (このIDを非表示/違反報告)
ユキカ(プロフ) - あんなつ♪さん» パチパチパチ☆←拍手の音 (2020年8月30日 10時) (レス) id: bba7686eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あんなつ♪(プロフ) - ユキカさん» やりぃっ!( ☆∀☆)めっちゃ嬉しいw (2020年8月30日 10時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユキカ(プロフ) - あんなつ♪さん» あ!そうそう!クンツァイトって宝石からとった名前なんだよ♪あんなつ、お見事っ! (2020年8月30日 10時) (レス) id: bba7686eb9 (このIDを非表示/違反報告)
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