神のいない世界で (ページ10)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:799 hit

9 ページ10

「あー、なんか吹っ切れたかも。お前の泣き面も久しぶりに見れたしさー」

フランシスは冷め切った紅茶を飲みながらそう話す。

「俺もだよ、お前が鼻水たらしながら泣くところが見れて」

紅茶は冷めている。しかし、いつもよりもおいしく感じられた。フランシスが鼻水は垂らしてなかったと思うけど、と言っているが、絶対に感極まって出ていた。正直なところ、視界が涙でぼやけていたがアーサーはそんな気がしていた。

「変わっちゃった世界は簡単には戻らないからさ、頑張って国やってく？」

「そうするしかないだろうな、俺らは国として可愛い国民たちを見守り続ける。よく考えたら何も変わってなかったじゃねえか。神様も、俺らの役目は変えられないってわけだ」

二人は紅茶の入ったティーカップを、乾杯するかのようにぶつけると、新しい世界の、何も変わらない自分たちを祝福した。

終わりログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)

←8