神のいない世界で (ページ6)

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数日後、久しぶりに業務だというので、アーサーが職場に向かうと、一通の文書が届いていた。送り先は予想通りSCP財団だった。

この異常事態に対する財団の動きについてがまとめられていた。世界各国にこの文書は通達されているらしい。今頃フランシスも見ているのだろう。

文書の内容は財団のカバーストーリーに関するものと、国の死についてはどのようになるのかは財団には分からないというものであった。もしも唯一死を迎えられる生き物になってしまったのならば、研究対象にもされかねない。今まで財団は異常実体と国を見なしてこなかったが、そんなやさしさのようなものも、おしまいになるかもしれない。

これからは国内でのこの件の対応についての会議だ、秘書がそう呼ぶ声がする。未来ばかり考えても仕方がない、アーサー・カークランドは会議場へと向かった。

結局会議は何も生み出すことはなかった。すでに財団によってこの事実は限りなく異常さを取り除いたものとして周知の事実となっており、将来的には新しい体に乗り換えながら生きるという選択肢も得られるということを希望に聞こえるように報道していた。どんな時代も人間は身勝手だ。国が変わらないまま生を押し付けられている間に、自ら命を絶ったり、変わらない体を恨んでいる間に新しい体を作ったりしてしまうのだから。

外を出歩いてみると、意外と世界は変わっていなかった。国民たちが、笑顔を浮かべて街を行き交っている。しかし、皆が携帯端末にニュースを映し出し、死なない生き方にどんどんとのめりこんでいる。新聞社も号外を出しているようだ。それでも世界の終わりを叫ぶ者がいないというところには、財団の手が回っていると感じざるを得ないが。

アーサーは都市の喧騒を抜けると、秘書を呼び、車に乗って田舎の庭の広い家へと戻る。特にこれといった植物は今は植えていないが、そのうち植えてみるのも良いかもしれない。アーサーの体質があれば、永遠に花の咲き誇る庭も作り出せるだろう。

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