【男主】望まぬ明日【歌い手】

今日21 ページ22

まふside

A「うらさん、この前は心配かけちゃってごめんね」


昼食を食べ終わって一息ついた頃、ホットココアを片手にAさんがそう切り出した

突然のことだけど、突然のことじゃない

さっき僕たちがゲームをやってるときから、そらるさんが天月くんに問いただしていたから

そらるさんはAさんと付き合いの長い、天月くんなら詳細を知ってると思ったみたい

実際に、彼は知っているようだった

それでも口止めされているのか、なにも教えてはくれなかった

Aさんの口からあの話題がでたのはびっくりしたけど、もしかしたらそらるさんが促したのかも

なんて、考えすぎかな？


うらた「聞いたよ。寝たくない理由」

坂田「明日が怖いって……」


これは僕も知ってる

そらるさんが教えてくれた


A「ハハッ……カッコ悪いだろ？」


いい歳してさ、なんて自嘲気味に笑うAさん

でも、僕だってそういう日があったから否定なんかしない

ただ、Aさんの体が心配

人間はどうしたって寝るようにできてるから、それこそ徹夜を繰り返すだけでも体に負荷をかけてるんだ

こんな生活を続けていたら死んでしまいそう


うらた「……なにかあったの？」


恐る恐るうらたさんがそう聞くと、Aさんは眉を八の字にして、ホットココアを両手で包んだ


A「いろいろとね……別に言う必要ないかなって思ったけど、そらるにも心配されちゃったからな……」


本当の俺を少しだけ、と言いAさんは話し出した

学生時代のこと

自分のもってる考え

そしてそれが今、Aさんに染み付いていること

どうしようもなく、がんじがらめできっと抜け出せないこと


大まかに、でも伝えたいことははっきり

不器用なAさんにしては器用なことをしていた


A「救いようがないだろ」


なんて笑うから僕たちは悲しくなった

１番辛いはずのAさんが笑ってる

でもさっきの話だときっと、彼は自分がどんな表情をしているのかわからないんだ

わからないから、笑っていれば大丈夫って思ってるんだ


まふまふ「本当に……変なところで器用ですね」

A「まふ……」

坂田「Aは不器用でいい！俺たちがたくさん助けるから！！」

luz「俺たちいつまでだってAの友達だよ！」

うらた「１日で手のひら返すなんてこと絶対しないし」

天月「だから、何回もなん百回も、"おはよう"って！」

A「ありがとう。みんながいてくれるなら、俺は安心だ」

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