遠い記憶 ページ12
*
「ちょっと…キュヒョナ…もう…」
次はあれ、今度はこれと、遊園地中を引っ張り回されて
正直グロッキー気味。
「なに、もう疲れたの？ヌナも年だね」
「ウルサイ…あ、痛……」
気付いたら、ヒールの後ろ部分が擦れて、靴擦れが出来てた。
だから普段履かない靴なんて履きたくなかったのに…
「ヌナ…！なんで早く言わないの？」
「大丈夫、たいしたことないよ」
「ダメだよ！大事な身体なのに…ちょっとここ座って待ってて！」
「え？あ、キュヒョナ？」
あたしをベンチに座らせて、何処かへ走っていってしまった。
「なによ、そんなに慌てて…」
ふと…
あの日、ピアスを無くしたと思ったあの海で。
必死になって波打ち際を探すあたしに付き合ってずっと探してくれた
キュヒョンを思い出した。
あんな小さいピアスがそう簡単に見つかるはずなんてないとわかってたけど
どうしても諦められなくて砂に手を潜り込ませて探してた時。
ふと触れた貝殻で指を怪我してしまった。
でも、指を切った痛みよりピアスを無くしたことの悲しさから
泣き出したあたしをキュヒョンが小さい体で抱きしめてくれた。
「ヌナ！痛い？痛いの？ケンチャナ？」
「キュヒョナ…違う。痛くて泣いてるんじゃ…」
「じゃあ！ピアスがなくなったから？
ピアスは僕が大きくなったら買ってあげるから泣かないで！」
「あれじゃなきゃダメなのよ…」
「だったらどうしたらいい？どうしたら泣き止む？」
そんな風に必死であたしの涙を拭ってくれるキュヒョンが可愛くて
ぎゅっと抱きしめた。
「ヌナ…？」
「じゃあ、唄って？」
「うた？」
「うん。歌」
「なに唄う？」
「なんでもいい」
えっと…と、少し考えた後、キュヒョンが歌ってくれた歌は
失恋した時にあたしがよく聴いていた歌で…
なんで今その歌？なんてツッコミは、入れないでおこうと思った。
だって、キュヒョンのその歌がとても心地よく胸に沁みて
心が洗われるような気がしたから…
もうずいぶん前の忘れてたキュヒョンとの記憶が
今になってあたしの心にどんどん広がって行く。
ふと、肩を叩かれて顔をあげた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 919人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらこ(プロフ) - puuさん» puuさん、こちらにもコメント頂いてたのに気付くの遅くてごめんなさい(>_<)エロギュ、たのしんでもらえてよかったです。はっ！！リーマンﾄﾞﾝﾍ！！か、完結目指して頑張ります(~_~;) (2014年12月25日 8時) (
レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 俺の初めてヌナにあげるがキュンっときてたくさんたくさんエロギュ楽しみました♪ギュの行動いちいち可愛くて大好きです(〃∀〃)あっ！もちろんリーマンドンへも好きですよ(笑) (2014年11月29日 9時) (レス) id: a390daf430 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - LaLaさん» LaLaさん、コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉ最高だなんて、嬉しいお言葉(>_<)これからもよろしくお願いします！ (2014年9月23日 6時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
LaLa(プロフ) - ぎゅ。最高です(＞ω<)/。・゜゜・ (2014年9月17日 19時) (携帯から) (レス) id: 1c41261f79 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ななさん» ななさんコメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉギュ、かわいかったですか？よかった〜^^;かわいい感じを出そうとすると、ﾄﾞﾝﾍみたいになっちゃいそうなんですけど…次……あまり期待は出来ないと思いますが…^^; (2014年9月17日 0時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2013年8月28日 21時
