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崖下から微かにエンジン音らしきものが聞こえてくる。此処は美しい舞台でありながら辺鄙な場所であるので、態々落ちゆく赤を見に来る者がいることは物珍しいことである。チーノはその音に気が付けば少し悲しげに笑った。
「…そろそろか。」
『チーノ。私、貴方と出会えて本当に善かった。』
「俺もやで、Aさん。」
チーノはそっとAに唇を落とした。溶けた熱が彼女を包みこみ、あの傾きかけた美しい赤の如く頬を彩った。その色彩を見ると彼は満足そうに微笑んだ。そして彼らはそっと手を握りあい、赤を映した新世界へと落ちた。
「A、ごめんな。」
今は岩肌へと波が打ち付ける音だけが辺りに響いている。美しかった赤はついに表舞台から姿を消した。神が零したインクはやがて空をすべて染め上げていき、やがてこの美しい舞台に新しい主役が昇った。
既にフィナーレを飾った舞台へバタバタと慌ただしく観客が駆け込んできた。彼らは次の公演など目もくれず、ただあの美しい赤を探し求めていた。しかし、そこにあったのは割れた鏡の破片が映した落日のみであった。
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メイナード(プロフ) - 天の河さん» 天の河様、コメント有難うございます。心中をはじめとした愛故の行動というものは、いつだってどう暴走するか予想の出来ないものですが、それが綺麗で、幸福であったならそれに越した事は無いと思います。閲覧有難うございました、どうか良き日をお過ごし下さい。 (2021年8月15日 19時) (
レス) id: f7c0eb2159 (このIDを非表示/違反報告)
天の河(プロフ) - 著名な方しか居ない合作ともあって、全てのお話が綺麗で、読んでいてとても楽しかったです。心中は個人的にとても大好きなので幸せです。grさんのお話と、馬鹿なshaさんのお話が特に好きです。もう大好きです。ありがとうございました。 (2021年8月15日 16時) (レス) id: cb69af0fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：企画参加者（午後） | 作成日時：2021年8月15日 12時
