. ページ25
.
もう一度、三人で並んでカメラを見つめる。
忘れていた、わけじゃないけど。
タイミングってもんがあってと、言い訳にして言わずにいた言葉を、言うなら今だと彼の隣に立ってふと思う。
「翔太」
“視線お願いしまーす”
「結婚、おめでとう」
“撮りますよー”
ふはっと笑う声が聞こえて、翔太の腕が肩に回った。
「わっ、ちょっと！」
バランスを崩した瞬間、パシャリ、音が鳴る。
「もうっ、髪崩れるー！」
腹を叩いてやってもガハハ、と笑う翔太と、それを見て楽しそうにケラケラ笑うふっかに、もう一度パシャリとシャッターを切る音がした。
「最悪、絶対変な顔してる」
「あんま変わんないから大丈夫だろ」
「しっつれいだねぇ！可鈴ちゃん！こいつ本当に綺麗だよなんて言った！？世界で一番綺麗だよなんてさ！」
「ちょ、おまっ！言うなそれ！」
焦ったように耳まで赤くなる翔太が面白くて、これは一生イジってやれるな、と思った。
私たちを見てクスクスと笑う可鈴ちゃんに、最高のネタをありがとう、と心の中でお礼を言っておく。
「おい、見てみ。ほんとに変な顔してるぞA」
カメラマンに写真を見せて貰っているのか、カメラを持ったふっかがそう言うから慌ててかけよれば、ビックリした顔の私と、その声に振り向くふっかと、大口開けて笑う翔太が映っていて思わず笑ってしまう。
「ねぇ本当に最悪」
「ふははっ、でも良い顔してんじゃん。ほら」
もう一枚、そのあとに撮った写真に変わる。
首を締められるみたいに腕を回された私は、翔太のお腹を叩きながらもすごく笑顔だ。
でも、どの口が、とも思う。
私の顔を見ながら笑う翔太だって、めちゃくちゃ楽しそうじゃんか。
それを見て笑っているふっかも、すごく楽しそうだ。
とても、良い写真だと思った。
そう、私たちは、この距離感が正しい。
変わらない距離感でいられる事が、今はこんなに嬉しい。
“ありがとな”
シャッターが切られる瞬間、聞こえた声を胸に閉じ込めて、なんだ、と思う。
やっぱり、私たちって最高じゃん。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 616人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バンビ(プロフ) - 蜜柑さん» 蜜柑様、コメントありがとうございます。このように感想をいただける事が私も幸せです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (2022年8月18日 12時) (
レス) id: c42b9ee31d (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結まで拝読させていただきました。私は渡辺くんを推しているので、主人公に感情移入しながら作品を読み進めていました。書かれている悪友が本当にそのままで良かったです。バンビさんの素敵な作品に巡り合えてとても幸せです。ありがとうございました。 (2022年8月18日 8時) (レス) @page28 id: 26da2e8d54 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ - かなさん» かな様、コメントありがとうございます。タイトルで気付いてくださるのが嬉しいです…。ご期待に添えるよう頑張ります…！ (2022年8月14日 14時) (レス) id: 518496b2f9 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - タイトル見て絶対バンビさんやと思ったらバンビさんで一気読みしました！なべふかコンビはどちらもよくてどっちとくっつくのかわくわくが止まらないです！続き楽しみにしてます☺︎ (2022年8月14日 8時) (レス) @page16 id: bb257ea4af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：バンビ
| 作成日時：2022年8月7日 11時
