エバ・グリーン

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「なに、風呂？さっき入ったじゃん」







「んや、置いてこようかなって」








おもむろにカバンからポーチを取り出す私に問うふっかは、不思議そうに中を見つめる。








「これ、翔太ん家に置いてきてやろうと思ったんだけどさぁ。やっぱ出来なかった」








意外と美容に気を使っている翔太のスキンケア用品は、メンズ用のものではないから化粧水や乳液を置いていったところできっと違和感はないだろう。








だけど、これなら、と翔太が使わないであろうものを置いてこようと持って行ったメイク落としは、結局そんな事私には出来なくて持って帰ってきてしまった。









「慣れない事するんじゃないの」









「でも新しく買っちゃったし、ここ置いとけばいっかって」









「ここは物置か」










呆れた顔のふっかを横目に、洗面所まで置きに行ってまた戻る。









「まぁいんじゃない？俺の周りの女の子に牽制出来んじゃん」








わざと目立つ場所に置いたのは、決してそれが目的ではない。








「そうだね。みんな離れてっちゃうね、残念」







でも、私の知らない人に目移りするふっかを想像したら、この言葉が現実になればいいのに、と思うくらいには私はズルい。








「あ、そだ、これ翔太に返しといて」









「なんであたしが。自分で返しなよ」









「俺会う予定ねーもん」








「あたしだってないよ」








「今はなくてもすぐ出来んだろ」








すぐに受け取らなかったゲームのカセットは、無理やりにも私のカバンの中へ詰め込まれる。








「…ふっかってよく分かんない」









純粋に応援しているのか傷付けたいのか、はたまた何も考えていないのか。







よく分かんないけど、結局私が受け取ってしまう事を知っているという事は確かだ。














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