エバ・グリーン

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「この前、ありがとな」








「翔太からも言ってよ、そういうのは自分で返せって。メールじゃなくてさ」








「おー、言っとく言っとく」









言う気ないな、とジトリと睨めば気付かぬフリでビールを流し込む彼が、『飲み行かね？』と連絡してきたのはつい一時間程前の事だ。








いつもの焼き鳥屋に行けば、いつもの席で先に始めている彼がいた。







「あいつ、お前と話せたの嬉しかったみたいよ」








「あいつって、可鈴ちゃん？」







「そう」








「…ふぅん」









「ふぅんって、何話したんだよ？」









「可鈴ちゃんに聞きなよ」








「聞いても教えてくんねぇの」









…だろうね。









あんたの話をしてたんだから。









届いたビールで代わりに言葉を飲み込んで、ふぅと一つ息を吐く。









「てか、お前らは最近どうなの」








「…は？」









「ふっかとだよ」









「どうって、なに」









心臓が嫌に暴れて、表情が上手く動かない。









それでも翔太はそんな事には気付かないんだから、私の感情は矛盾する。









「いい加減どうにかなれよって、俺ずっと思ってんのにさぁ。あいつも意外とチキンな奴だな」









翔太の事で傷付くなんてもうないと思っていた事が、バカらしく思えた。








私は翔太の友達で、翔太の恋人は可鈴ちゃんで。









それでも良いと割り切っていたはずでも、結局こんな事で傷付いてしまうくらいにはまだ翔太の事が好きなのだ。












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