come into flower～Eustoma～vol.3 (ページ9)

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つられまくるページ9

「このシナリオ、ユリムさんが手掛けたって知ってました？」

「え、ええ・・・」

私はテギョンさんを

少し小走りで追いかける。

「台本貰って、・・それで気づきました」

「本当、色んなところにいるわ・・(笑)」

テギョンさんは

クスクスと笑ってて、

私は

風を切ると

動悸が少しだけ落ち着いた。

すぐスタジオに到着して

テギョンさんが扉を開けてくれる。

「あ、りがとうございます」

ニコっと笑うテギョンさん。

スタジオの中に入ると、

「オクテギョンさん、Aさん、入られます〜！」と

スタッフの大きな声と共に

拍手がうまれた。

アロマが漂うスタジオ。

背景は明るいグリーンだけど、

歩く景色は

もっと春の風景がリアルに表現されていた。

やる、やる、やり遂げる。

精神が集中していく感じ。

身体中の神経が、スッと落ち着いた。

監督や

さっきは居なかったスタッフに挨拶を済ますと、

テギョンさんは

もう木の下に居て

1人のスタッフが容姿を整えてて

もう1人が台本を持って最終確認をしているようだった。

「携帯はいい？」

「うん」

今日は行ける。

わたしも

衣装とメイクを直してもらいながら、

スタッフさんと最終打ち合わせ。

予め

折りやすくなってるお花とか

歩くスピードとかを入念に確認した。

「では一回通しますね〜」

スリッパを脱いで

スタジオの冷たいフロアに素足を乗せて、

スタッフが少し掃けたセットに寄る。

「アクション！」

私は

畦道に

足を踏み入れた。

リアルな緩い土を踏む。

足跡を残しながら

お花を摘んで

テギョンさんの側にいって、

テギョンさんの目の前に立つと、

テギョンさんは

私に、柔らかく笑う。

それに

私も微笑み返した。

束にしたお花。

それを

そっと

テギョンさんに近づけようとした時だった。

テギョンさんが

私の手ごと

そっと掴んで、

お花の匂いを確認しようとする・・・。

シナリオと違う行動・・

本来、テギョンさんは待ってるだけ・・・

言葉が出なくて、

テギョンさんを見てるしか無かった。

スタッフは

セットの外で

台本を確認してる。

お花を見て

匂いを確認したテギョンさんは、

私と目を合わせて、

そして顔を顰めて、

お花に少し顔を隠したまま

またちょっと笑う。

「・・・想像してた匂いと、違う・・(笑)」

え、うっそ・・・(笑)

私の緊張は

完璧に解けた。